レンズの修理をしたら現代社会の在り方をすこし学べた話
愛用の標準ズームレンズ、Panasonic 14-45mm/F3.5-5.6 のズームリングがガギガギして動かなくなった。故障である。このレンズは安価で軽いレンズだが、大型の花形フードを採用し、色収差が少なくよく写ると評判の品だ。高価なレンズを持ち出すほどでもないお店撮影の時に常用している、なくてはならないレンズなのだ。
で、アキバにあるルミックスのサービスセンターへ行ってきた。
ニコンやキヤノンのサービスセンターは銀座にあるのに対して、パナソニックのカメラのそれは秋葉原にある。街の雰囲気が全然違う。
そういえばライカも銀座に素敵なお店を構えている。それに対してパナライカのサービスセンター(ここ)は、内装が昭和の町工場の接待室みたいな感じ。ライカとパナライカの格差は果てしなく広い。
しかし、パナはレンズの修理をここではしておらず、山形工場へ送るという。それならここへ足を運ばずとも、宅急便で送ればよかったなあ。
苦楽を共にしたレンズの修理の見積もり
そして見積もりをだしてから修理を断ると、見積もり料が1000円かかるそうだ。見積もり料などニコンやペンタックスでは聞いたことないが、家電界ではフツーなんだろうか。釈然としないが、とりあえず見積もりをお願いすることにした。
それから数日後、携帯に連絡があった見積もりは約1万4千円。
ズーム環の修理にしては高額に感じる。というのも14-45mm/F3.5-5.6は新品価格がいまや定価の半額の1万8千円。新品を買うのと大差がないので修理を断ろうかと思った。パナが修理見積もり料を1000円もかけているのは、修理を断る人が多いからに違いない。
が、仕事場での苦楽を共にしたこのレンズに愛着を感じてもいたので、すこし思案してから、やっぱり修理をお願いすることにした。無下にはできない。
それからさらに数日後。修理完成の報を受けて、アキバへ向かった。ぼくは中央線を利用しているから御茶ノ水駅で降りて坂を下っていく。御茶ノ水と秋葉原も街の雰囲気がずいぶん違うなあ。
修理代金をクレジットカードで支払い、レンズを受けとった。
すっかりきれいになっている。レンズ内には塵ひとつない。
外装もピカピカだ。
しかしよく見ると、レンズ前部と後部で鏡胴の色が違うではないか。
前部がブラック、後部がグレーだ。
たしか、以前の外装はぜんぶグレーだったハズ…..
このレンズは新品だった
そこで気がついたのだが、渡されたこのレンズは新品だった。
ぼくが修理依頼したレンズからシリアルナンバーが記されているパーツだけを外して、新品に換装して送り返されてきたのだ。その結果、外装の色がチグハグになってしまった。外国で時々そういう修理の車を見かけるけど、ぼくのカメラがそうなるとはなあ。
これがニコンなら「外装の色が変わりますけどよろしいでしょうか」ぐらいのことは電話で確認をとると思うけど、パナは修理代金しか確認をとらなかった。
世の中には、50年以上前のオールドレンズを自分で分解整備して、パナソニックのミラーレスデジタルカメラにつけて撮影を楽しんでいる人もぎょうさんおるというのに、当のパナは自社のレンズを「さっさと棄てる」ことにして修理をしない。修理をすると採算が合わないのだろう。
さすが家電メーカー、と感心しながら帰途についたのだった。
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