これがレンズクリーニングのプロ御用達道具。早速レンズを清掃しよう
先日のイジェン火山トレッキング中に、レンズ前面に硫黄塵や塵がついたままシャッターを切ったら、画面がボヤボヤな写真を撮ってしまった。やっぱり汚れた機材ではクリアな写真にならない。機材はいつもクリーンにしておきたい。
帰国して最初にすることは、機材の一斉清掃だ。 まずはニコン クリーニングキットをテーブルの上に置くことから始まる。
このキットは、撮像素子(ローパスフィルターorセンサー)をユーザーが自分でクリーニングするためにニコンが発売しているキット。
キットといっても特別な道具があるわけではなく、単に必要な市販品をまとめて売っているだけだが、ニコンのサービスセンターの人もこれと同じものでレンズや撮像素子をクリーニングしているから、プロの道具であることは間違いない。
ガラスのハンドラップ
キットのひとつ、ハンドラップは、受け皿を少し押すと中の液体が吸いあげられて皿にたまる器具。揮発性の液体を扱うときに便利。クリーニングペーパーを受け皿につけて湿らせてレンズを清掃する。
クリーニングペーパーは幾重にも折りたたんでから湿らせること。でないと指脂がレンズについてかえって汚れることがある。
無水アルコール
レンズや撮像素子用のクリーニング液は市販の無水アルコールを使う。別名エタノールともいう。ニコンはこれを可燃性品で通販出来ないという理由でキットに同梱していないが、アマゾンで普通に手に入る。
無水アルコールはたいへん洗浄力が強い液体で、電子機器の清掃によく使われる。というのも「無水」というだけあって水分を含まないから精密器具に使っても安全なため
。そして揮発性だからあっという間に蒸発して乾いてしまう特性もマル。
水で薄めて霧吹きにいれて、壁や床の掃除に使うのも一般的。洗面所やお風呂の清掃にも効果的だ。一家にひとつあってもいいだろう。ただしフローリングの床はワックスがはがれるから使ってはいけない。
「無水エタノール」と名前が似ている「消毒用エタノール」という製品がある。両者のアルコール成分は同一だ。
無水エタノールはエタノールほぼ100%。高揮発性で乾きが早く拭きムラが起きにくいことから、レンズやセンサーなど写真機材清掃に使われている。しかしあまり乾くのが早いと、汚れは落ちても菌が死ぬ前に乾ききってしまい殺菌力が弱くなる。そこで消毒用エタノールは水を混ぜてエタノール濃度80%にして殺菌力重視の製品になっている。
格安レンズクリーニングペーパー、シルボン紙
クリーニングキットの付属品。 これも市販品なんだけど、レンズ清掃にぴったりのペーパー。なにがいいって1000枚で1000円程度のランニングコストの安さ。
通常、レンズのクリーニングペーパーは富士フイルムやその他のメーカーから発売されているが50枚入りで150円ほどして、1枚あたり3円だから高いという程でもないけど、シルボン紙なら1枚あたりたったの1円。クリーニングペーパーは消耗品だから安いにこしたことがない。ぼくはレンズ清掃にはこれしか使っていない。
製造している小津産業は、承応2年(1653年)に江戸で創業された歴史ある製紙会社だ。なんと現在の本社は創業時と同じ場所にあるという。持ち前の高い技術を活かしてレーヨンをレンズのクリーニングに適した薄紙のように織ったのが本製品。シルボン紙といっても実は紙ではなくて布なんだね。
キムワイプ
これはニコン クリーニングキットには含まれない製品。
ティッシュペーパーの一種なんだけど、普通のティッシュと違って腰が強くて毛羽立たないからホコリがつかない。理系の研究室や病院で器具のクリーニングに必ず使われているペーパーだ。これでカメラボディを擦れば脂汚れもよく落ちる。
このままこすってもいいけど、無水アルコールをつけて擦ればなお汚れがよく落ちる。 ただしレンズ表面だけはこれで擦らないようにね。
物撮りをする前にブツのホコリをとるのにも便利だ。物撮りカメラマンには必需品で撮影スタジオにも置いてある。
キムワイプは日本製紙クレシアがつくる汚れふきシートの製品名。理系の人は全員知ってるけど、文系の人は聞いたことがないかもしれない。
というわけで、シルボン紙でレンズ表面、キムワイプで機材の外装をクリーニングするのだ。
オリンパスのレンズクリーナー
写真界では有名なオリンパスのハイパークリーン EE-3310。これもニコン クリーニングキットには含まれない製品。 高性能なので常備している人が多い。
シルボン紙を製造している小津産業では、業界No.1と評価の高いEE-3310をシルボン紙につけてレンズ清掃することを勧めている。
けれどもぼくは、いちいちスプレー缶を持ってシルボン紙に噴射するのが面倒だかられをほとんど使っていない。片手でシルボン紙をもってハンドラップの無水アルコールを湿らした方がずっと作業が簡単だ。 ニコンのサービスセンターの技術者もそうしてレンズ表面をクリーニングしていのだ。
ぼくがEE-3310を持っているのは、海外など飛行機でハンドラップを持って行けない出張先でレンズクリーニングすることがあるから。飛行機に乗るときはこれのプラスチック容器のものを持参する。
レンズクリーニングの順序
- レンズ表面をブロアで吹いて塵を飛ばす(必須)
- 塵を飛ばしきったことを光にかざして目視確認する
- シルボン紙を四つ折りにする
- シルボン紙をハンドラップの受け皿につけエタノールを湿らせる
- レンズ中心部から外縁にかけて円を描くようにしてゆっくり拭く
- 汚れが完全にとれるまでシルボン紙を何枚でも使う
- 最後に乾いたシルボン紙で軽くから拭きする。
上記(1)は必須。かならずすること。
レンズ表面に塵が残ったままシルボン紙で拭くと、塵がレンズを傷つける。本当に傷がつくよ。メガネをかけている人ならよくご存知だと思う。
一般にプラスチックレンズはキズがつきやすく、ガラスレンズはキズがつきにくい。ニコン製の写真撮影用レンズはすべて前玉も後玉もガラスレンズだから安心して清掃できる。とはいえゴシゴシこすったりしないこと。丁寧にレンズの前面と後面を正装する。
レンズと接眼ガラスをきっちりクリーニングすると、ファインダー像が見違えるようにきれいに見える。それに実際に写真もきれいに写る。 撮影機器がピッカピカになった分だけ、汚れたクリーニングペーパーが山のように溜まった。
クリーニングペーパーは惜しげもなくじゃんじゃん使うのがレンズ清掃のコツ。だから安価なシルボン紙はレンズ清掃に最適なのだ。
センサーの汚れの清掃は
撮像素子(ローパスフィルター)の清掃に興味のある人はNikon クリーニングキットプロ2を購入して下さい。購入すればニコンが定期的に行っているローパスフィルター清掃講習会に無料で参加できます。遠方や時間が合わない方でも、実際の講習内容とまったく同じDVDがセットに含まれており、それを見れば自分で清掃できます。
ぼくはNikon クリーニングキットプロも買って、講習会に参加したけれど、DVDの内容は本当に過不足なく講習会と同じだった。
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