ルクラからラメチャップ空港を経てカトマンドゥへの長い道のり
ガイドのラジューくんが朝7時よりも前から、ぼくがカトマンドゥに戻るために各航空会社で飛行機の席を探してくれた。しかしながらカトマンドゥに戻りたいツーリストが他にも大勢いて、誰もが席を求めているから、状況は非常に厳しい。
本日のターラー航空のルクラ発カトマンドゥ行き便は27便まで番号が振られたという。そしてぼくが乗る予定の飛行機は23番め。遅すぎる。絶望的だ。
ラメチャップ空港へ飛ぶことに
それから午前10時を過ぎても何の連絡もなかった。手持ちぶさたなので、近くのスターバックスコーヒーでカフェラテを頼んで飲み始めたところで、ガイドのラジューくんが空港から走ってきた。「マンタリまでの切符がとれました。今すぐ荷物を持って空港へ行きましょう」
このスタバはロゴマークを見れば分かるように、本物のスタバとは何の関係もない。けれども何故かこの店を本物だと思っているトレッカーは結構多いらしい。コーヒーの味自体は悪くない。
さて、マンタリ空港(ラメチャップ空港)は、カトマンドゥとルクラの中間よりやや南方にある小さな空港。そこまでゴマ航空が飛ばす9人乗り単発機に乗って、その先はバスでカトマンドゥへ向かう手筈になった。航空券代金はUSD120。
同乗者はドイツ人5人とネパール人3人。
ガイドのラジューくんも一緒。
11時30分、軽快な音を立ててエンジンが回ると機内がガタガタ揺れるのがやや気になるが、飛行機はルクラ空港を離陸した。もしかしたらこれから一週間は滞在しなければならないかもしれなかったルクラが、あっという間に視野の彼方に消えていく。
しばらくしたら、下方にラムジャタルの町と空港が見えた。
離陸して30分したところで飛行機は高度を下げ、機首を河原に向けた。
ラメチャップ空港に着陸
もしかしてあの河原に着陸するのかと思ったら、本当にマンタリ空港は河原の石をよけて造られただけの滑走路だった。雨期に増水したら水没するのではないかと心配になるが、周辺には民家も雑貨屋も建っているから洪水の心配はないのだろう。
ラメチャップ空港は、東部第3州ラメチャップ郡の郡都マンタリにある。カトマンドゥから距離にして約120km。標高500mの丘陵地帯だ。つい2時間前までの寒さと不安は嘘のように消え去り、南国の光を楽しんだ。ここはTシャツ一枚で充分過ごせる暑さだ。
幸いなことに、ゴマ航空が気を利かせてジープをチャーターしてくれるというので、ぼくらは空港前の店でランチを食べながら待つことにした。西洋人のお客が並んで座っている。
山羊肉の煮込みとチウラ(乾燥したお米)の組み合わせで、酒のつまみみたいなものだが、山中では食べられない豊かな香辛料の味が何とも言えずおいしい。
カトマンドゥへ出発、5時間の旅
午後1時20分
やってきたのはインドのタタ製ジープだった。
ルクラのチェックインカウンターで預けた荷物はゴマ航空の係員がちゃんと見張ってくれていて、クレームタグと引換にジープの屋根に一個ずつ載せていく。その様子を見て、失礼ながらこんな河原の空港にも関わらず荷物の管理が意外にしっかりしていることに感心した。
ドイツ人達は2列ある後部席にそれぞれ4人掛けで座った。身体が大きい人たちなのに窮屈そうだなあと思いつつ、最後まで空いていた助手席にぼくはちゃっかりと座り込んだ。
さあ、カトマンドゥに向けて出発だ。
1時間ほど走ると、日本のODAで完成したシンドゥリハイウェイに出た。
この道路は日本の高い技術と資金で造られた道だが、道路幅が微妙に狭いことから路線バスやトラックは対面交通しにくいためほとんど走っておらず、大量輸送に使えない、存在意義がよく分からない道だとネパール人に陰口をたたかれている。
しかし、そもそも日本のODAは日本の会社を潤すためにあるもので、道路を施工した建築会社が儲かればいいのだから、地元民の使い勝手は二の次なのである。だからこれでいいのだ(本当か?)。誰もが知っている、しかし大っぴらには語られない真実だな。
大型車が少ないお陰でジープは軽快に走れる。
途中の村々を通り抜け、一路カトマンドゥへ。
カトマンドゥに到着
ドゥリケル、バクタプルを経て、終点のカトマンドゥのコテシュワールに到着したのは午後6時半。すでに真っ暗だった。客待ちしているタクシーにRs600も払ってジャタ(タメル地区の東南地区)のホテルへ走ってもらう。
それにしても思い掛けず、早くカトマンドゥに戻れてよかった。
順調に飛行機が飛べば45分の距離を、7時間かけて移動したことになるが、もしこういかなかったら、最寄りのバス停まで3日も4日も歩かなければならなかったかもしれないし、ルクラで次の便を一週間くらい待たなければならなかったかもしれない。
最後に、予約していたジャタ(タメル)のホテルがオーバーブッキングで泊まれず、近くの別のホテルに案内された。疲れているのにまったくー!と思ったけど仕方がないから泊まることにしたら、オープンして一ヶ月しか経たない新しい建物で、お湯の出もよく、設備もよく、気持ちよく滞在できた。
さあ、そろそろ就寝の時刻だ。布団で眠るのは気持ちがいいぞ。おやすみなさい。
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