スナップ写真好きなら必見の映画「ヴィヴィアン マイヤーを探して」
生涯に10万枚以上のものスナップ写真を撮影しながら、発表しないまま亡くなった謎の女性写真家ヴィヴィアン マイヤー。
彼女を描いたドキュメンタリー映画が公開されている。タイトルは「ヴィヴィアン マイヤーを探して」。すでに見た人も多いかもしれない。
映画は、ヴィヴィアン自身が撮影した写真や映像と、彼女を知るひとたちへのインタビューで構成されている。ヴィヴィアンがこれほどまでに質が高いスナップ写真を大量に撮り続けた原動力はどこからくるのだろうか。そして、なぜ発表しなかったのだろうか。
映画に描かれる1950〜60年代はまだカメラもフィルムも大変高価で、一般の人が日常に使えるようなものではなかった。露出もピントも手動だし、だいたいカメラに露出計すらついていない時代で、技術的にも難易度が高い。にもかかわらずヴィヴィアンはドイツ製のカメラを持ち、フィルムを自分で現像していた。
30〜40代の彼女は二眼レフカメラのローライフレックスを使うことが多かった。ほかに、ライカIIIcも使っていた。「高価なライカIIIcを持つ孤独な貧困女性」とはミステリアスだ。映画の中で「ミステリアス」という言葉を何人もが口にしている。写真への熱意や、あふれる才能、1951年に世界一周撮影旅行へ出かけた情熱は彼女が生まれながらに持っていたものだとしても、カメラの購入費や旅行費用はどこから出てきたのだろう?
ヴィヴィアンの本職は低賃金な乳母だった。その給金では不可能なはずのことを彼女はしていた。写真家がもつ謎の多くは映画では明かされていない。
ヴィヴィアンは2009年に、彼女が写真を撮り続けたシカゴで亡くなった。
遺品には10万枚以上もの未発表写真と、700本の未現像フィルムが含まれていた。晩年の彼女は、一時ホームレスをしていたほど貧しかったというから、写真を撮影しても現像代が工面できなかったのかもしれない。
謎が謎を呼ぶ、興味深いドキュメンタリーだ。
スナップ写真が好きな人なら、ぜひ観てみたい。
東京では青山のシアター・イメージフォーラムで、すくなくとも12月5日まで上映している。全国公開だから他の地方でも見られる。公式サイトはこちら。
ヴィヴィアンマイヤーの写真はこちらで見られる。ほんとうにものすごい力作だ。
まったく無名のまま消えていったヴィヴィアンが死後に世に認められたのは、ネット時代の情報拡散力・集約力によってのこと。それから、このドキュメンタリーはパナソニックGH1で動画撮影されている(ときどきカメラが画面内に写っている)。「ヴィヴィアン マイヤーを探して」は2010年代だからこそ作り得た映画なのだなあ。
ぼくも頑張ろうっと。
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