TPPで日本は、アジアやアメリカとの国境がなくなる第一歩を踏み出した
この秋に決まったTPP(環太平洋戦略的経済連携協定、または自由貿易協定)で、今後の日本はどう変わっていくのだろうか。
まず、参加した12ヵ国が自由に貿易をするために関税が撤廃され移動が自由化されると、いまある国境は経済的には「県境」に変わる。
日本からオーストラリア、マレーシア、ベトナム、アメリカ合衆国などTPP参加国へ行くのは、東京都から大阪府や鹿児島県へ行くのとおなじような意味になる。農業も産業もサービスも、すべてのあり方が変わっていくだろう。
当初からの参加国の12ヵ国は、はじめのうちは経済的に一体になるだけだが、ゆくゆくは連邦制をとる共同体へと発展することも考えられている。
そういえば、1992年に発足したヨーロッパ連合(EU)も当時は12ヵ国だった。EUはその後、国境検問を廃止し、通貨統合してひとつの地域になったが、あれとおなじことが太平洋諸国でおきるかもしれない。いずれ。すごいね。
1868年の明治維新以来の大きな変化がやってきそうだ。廃藩置県なんてもんじゃない。
日本ではTPPを歓迎する層が多いが、一方ではTPPに不満をもつ層もいる。とっくにおいしい既得権益をもつ層からの反対意見がつよい。しかし世界は動いている。明治維新の時は時代の変化に対応できない不平士族が各地で反乱をおこし、鎖国体制に戻そうとしていたが、いまの日本には武力で反乱をおこす人がいないのは幸いだ。
ただ、環太平洋がヨーロッパと違うのは、加盟国間は歴史も文化も宗教もなにもかもが共通していないこと。そしてヨーロッパは英・仏・独という国力が拮抗する大国が中心にいるが、環太平洋はそうではない。圧倒的に大きいアメリカ合衆国と、経済と文化はものすごく強いが軍事的には弱い日本と、そのほかいろんな国々。諸事情をまとめてバランスをとるのはちょっと大変かもしれない。
国境検問を廃止したヨーロッパのように「域内の完全な移動の自由」が実現できるかというと、いまのところはそこまで話し合っていないようだ。それが実現するのはまだ当分先のことだろう。けれども、新しい時代への一歩が踏み出されたことを嬉しく思う。
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