著作権侵害はただちに料金請求する。メールの次は内容証明郵便を送ろう
写真やイラストを無断使用され、料金を請求するメールを送っても交渉が暗礁に乗り上げたなら、打開策として内容証明郵便を送ろう。
本気度を相手に伝えるのが内容証明郵便
内容証明郵便とは、「かくかくしかじかの内容の手紙を確実に相手に届けた」と郵便局が証明する制度。
手紙の内容はメールでの交渉と同じでよい。
けれどもメールと違ってなんとなく物々しいから、本気度が相手に伝わってこれで解決することがある。ぼくは若い頃住んでいたアパートを引き払うときに、何度交渉しても敷金を返却しなかった不動産屋に内容証明郵便を送ったらすんなり返金してもらったことがある。
内容証明の要点
メールでは「ご使用になった料金をお支払いください」と穏当な表現をした。しかし内容証明郵便では「損害賠償をお支払いください」とした。法律的には、使用料とは事前に契約を交わしたことを指す言葉だ。したがってこの場合は損害賠償というのが法的に正しい。
金額は、写真の無断転載をした相手(ぼくの場合はB社及び子会社のA社)がこちらのクレームを無視している以上は交渉も割引もできない。考えるだけ時間の無駄だから、業界大手アマナイメージズの料金表にしたがって掲載期間2年間の割増金2倍として計12万円を請求することにした。
ぼくが実際にB社のB社社長に送った内容証明郵便の文章を載せる。手紙の内容は自由に書いてよいのだが、今更「交渉させてください」でもないし、おのずから下記のようになると思う。時節の挨拶は不要。必要に応じてテンプレとして自由に使ってください。
平成27年4月17日
東京都品川区〇〇〇〇
A社
代表取締役社長 〇〇〇〇殿
自分の住所〇〇〇〇
有賀写真事務所
代表 有賀正博
通知書
貴社が管理運営されているウェブサイト(サイトタイトル スペイン観光案内 ・ページタイトル スペインフリープラン ・URL 〇〇〇〇)に、私が管理運営しているブログ(ブログタイトル 旅するフォトグラファー ・ページタイトル セビーリャのフェリア・ URL http://photo-yatra.tokyo/blog/archives/133)の写真が無断掲載されていることが平成27年4月10日に判明しました。
貴社サイトのお問い合わせページからこの件で連絡をいただきたい旨をお伝えしたところ、4月12日に当該ページが削除されたことを確認しましたが、その後本日までに貴社から何の連絡もいただいていません。
私が撮影した写真の著作権は私にのみ属します。貴社の行為は私の著作権を侵害しています。つきましては本状到達後速やかに損害賠償として金12万円をお支払い願います。
内訳は、ウェブ用途での写真使用料1年間3万円、それを2年間分、そして無断使用による割増し料金を2倍とします。振込先は下記の通りです。
〇銀行〇支店
普通口座〇
名義人有賀正博
本状到達後7日以内に上記の対応をしていただけない場合は、著作権法に基づく法的措置をとる旨を予めご承知ください。以上。
内容証明郵便は、内容は自由だがレイアウトが決められている。
パソコンで作成するなら、文字横書き、1行20字以内、1頁26行以内。句読点・数字・ローマ字・スペースもすべて全角文字で打つ。ぼくはMacでテキストエディタJeditを使ってリッチテキストで書いた。詳細は郵便局のサイトで確認しよう。
手紙を書き上げたら3通プリントし、それぞれにハンコと割り印を押して郵便局の本局へ持っていく。料金は1252円〜。窓口で二人の局員が3通を読み比べ、一字一句間違いなく同じであることを確認してから書留扱いで受け付けてくれる。
この作業になんだかんだで30分ぐらい要すから人件費を考えるとおどろくほど割安な制度だ。1通は相手に届け、1通は自分で保管、もう1通は郵便局が保管する。
Googleで「内容証明郵便」で画像検索すれば実際に送られたものがたくさんヒットするから参考にできる。上記文章ではぼくの住所と銀行口座名だけ伏せ字にしたが、相手の会社は住所も社長名も公開情報だからここに掲載にしても問題はない(注:記事の公開当時は、被告の会社を実名表記していた)。
郵便局へ行くときは、封筒も3通用意して、印鑑を持って本局へいく。窓口で「内容証明郵便をお願いします。配達証明つきで」と伝えること。
Windows利用者はネットで申し込める
パソコンがWindowsなら、内容証明郵便は郵便局のウェブサイトから申し込める。支払いはクレジットカードで。これなら自分でプリントをする必要もないし、わざわざ郵便局の本局へ足を運ぶ必要もないから簡単だ。これも配達証明つきで申し込むこと。
Macにも対応してください>郵便局。
普通の会社なら真摯に対応するはずだが
普通の会社なら内容証明郵便を送られたら真摯に対応する。
もっともぼくの相手は違った。B社(A社)のB社社長はもともとメールでの著作権侵害の問合せを無視する人物だから、本人宛の内容証明郵便であっても期限を過ぎても返事をすることはなかった。放っておけば諦めるだろうと思ったのかどうかは知らない。
こうなると打つ手は限られる。「法的措置をとります」と書いた以上は提訴をすることになる。さーて、どうしたものかな…..
内容証明郵便を出すとこのように、後は進むか退くかの選択をしなければならなくなるのだ。だからできるだけメールで話をまとめた方がイイよ。
といっても交渉は相手次第だ。相手が誠実な人ならこんな展開には決してならないんだけど、ぼくの相手のB社社長はそうではないから致し方ない。
というわけで、いよいよ提訴だ。訴状の書き方は次のエントリーで。
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コメント一覧
罰金とは刑罰の一種で国家が個人や法人に課すものであって、個人が請求できるものではないと思いますよ。割増料が妥当じゃないでしょうか。JRのサイトを見ると不正乗車に関しては「2倍に相当する額の増運賃を。。。」となっています。
こんにちは。
おっしゃるとおりです。法的には罰金の根拠はありません。
そこで、何と表現したらいいかは悩みました。思い悩んで罰金はなしにしようか、とか…..。
その後になりますが、告訴の時に裁判所の書記官と相談した際は、「罰金が2倍」の根拠をいたく気にされていましたが、罰金という表現については問題になりませんでした。大目に見てくださったようです。
「割増し料金」はいいアイデアだと思うので、次回このようなことがあれば、そう表現することにします。サジェスチョン、どうもありがとうございました。
<ご意見をいただいて、内容証明郵便の文章表現を一部訂正しました>