フェイクニュースがFaceBoookを通じて世界中に拡散する
全長50mもの巨大イカがカリフォルニアの海岸に打ち上げられた。このイカはフクシマ近海に生息する種類で、放射線によって巨大化したものが太平洋を越えて流れ着いた。
という内容の記事が、1月9日、Lightly Braised Turnipというワケ分かんない英語のネット新聞にアップされた。
海岸で巨体をさらすイカの写真は明らかなフェイク、合成写真だ。
写真をやっている人ならすぐに分かるよね。海岸は正午のピーカン、真上からの直射日光がギラギラと照りつけている。それなのにイカにあたっているのはフラットな光。まったく違う光の下でイカは撮影されている。全く違う環境で写された2枚の写真を合成したフェイクだ。
合成のベースとなった写真はネット上にすぐにみつかった。
2011年11月、チリの海岸にクジラの死体が打ち上げられたときの写真だ。
記事と写真はここで読める<リンク先のページは削除されました>。
このフェイク写真、驚いたことにフェイスブックで物凄い勢いで拡散している。
9日のお昼頃にネット新聞のページを見たとき、いいね!は1300だったのに、その夜にはなんと2万に達していた(追記:12日には100万を超えた!)。イカが放射線によって巨大化したことを信じて不安になる人も多いようだ。
このでたらめ記事が、冗談で書かれたのかそれとも悪意があるのかは分からないが、事実として受けとっている人が少なくない。ネットという空間で嘘と不安が拡大されて、世界中に広まっていくのを、現在進行形で見ているところだ。
巨大イカの元写真は日本でも発表済み
この巨大イカは、スペイン北部サンタンデール近郊の海辺の町で活動するプロの水中フォトグラファー、エンリケ・タレドさんが撮影したものだった。
なんと、フライデーの2013年11月8日号に当該写真がすでに載っていた。
エンリケさんの家から近いアレーナ海岸に打ち上げられた、全長約9mのダイオウイカなのだそうだ。大きいです。とてもじゃないけどキッチンなんかで撮影できる大きさではなかった。
といっても全長9mの大部分は足だから、胴体は4mくらい。撮影時の天候は雲の多い薄日。適度に芯があるフラットな光がまわっている。
サンタンデールの海岸の風景
ダイオウイカが撮影された夏のサンタンデールはこのような場所です。リゾートエリアなんです。この写真はぼくが撮影しました。この海のどこかに全長10mの巨大イカが泳いでいるんですね〜
ところで、元のデタラメ巨大イカの記事は昨日一日でさらに60万以上のいいね!を獲得している。すごい。フェイクニュースが世界規模で拡散していて怖ろしくなる。日本でも反原発派の方々がさかんにFBにシェアしているし。
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