谷中の七福神巡り
七福神巡りは、初詣の定番。
まずは山手線田端駅を降りて、北口の改札から出て左へ。
谷中の七福神は、東京にいくつもある七福神のなかでも一番古い。
江戸中期には初詣の寺巡りとして人気の道筋だったそうだ。
最初の寺は、田端駅から徒歩5分の、東覚寺。
東覚寺には、赤紙仁王像といわれる仁王像がある。
病気持ちの人が、魔除けの赤い紙を、仁王像の自分の患部と同じ箇所に貼れば病が平癒すると言われている。1643年に建立された露天の仁王像は、赤紙がびっしり貼られてしまってその姿を見ることができない。
東覚寺は真言宗の寺で、境内に大日如来像はじめ観音さまや二宮尊徳像など
いろんな像が置かれている。
七福神のひとり、福禄寿は左手の庫裡の玄関に置かれてあった。
福禄寿は唐国(からくに)の神さま。
東覚寺を後にして、次は恵比寿さまを祀る青雲寺へ12分ほど。
恵比寿さまは七福神のうちただ一人の日本の神さま。
「エビス顔」で知られる福の神で、商売繁盛・五穀豊穣に効験がある。
初詣の期間中(〜1/10)は参拝者が多く道を歩いていて、
デートコースにもなっているようだ。
次は、修性院で祀られるは布袋さま。
見た目に恰幅がよく、なんとなく裕福そうなので、
御利益がありそうだと人気の神さま。
中国では、この恰幅のいい姿は弥勒如来とされている。
そして富士見坂を登る。
ここは、江戸時代から昨年まで、富士山が見える富士見坂だった。
何百年ものあいだ、地域の人たちに親しまれてきた富士山は、
街灯のむこうに建てられた黒いマンションによってその姿を覆い隠されてしまった。
谷中銀座にちょっとより道をする。
小腹が空いてきたので谷中銀座でコロッケやメンチカツを買い食いしたり、
お茶を飲んだり。いろんなお店がある。
こんな美容室や
こんなベタなホテルがあったりする下町を歩きながら
日暮里駅前に出る。
成田空港へ行くときに通る駅だ。
向こうに東京スカイツリーが見える。
日暮里駅近くに建つ、毘沙門天を祀る天王寺
続いて、寿老人を祀る長安寺。
南極老人星(りゅうこつ座α星)の化身で、この星を見た者は長寿になるという。
中国の神さま。
このあたりの町並みは、外国人観光客に喜ばれそうだね。
日本に来た外国人が見たいものは、日本にしかない物・町並み・風景・行事など。
西洋文化を真似た建物は、西洋人には「チーピーなフェイク」にしか見えない。
東京オリンピックには大勢の外国人客がやってくるだろうから、彼らに楽しんでもらうためにも、こういう町並みは残したおきたい。
護国院に祀られるのは大黒さま。
大黒さまは、もともとはインドのマハカーラという神さまだった。
マハ(大)カーラ(黒)というだけあって、姿が黒い、恐怖の神さまとして人々に怖れられている。写真を探していたら、ネパールのカーラバイラブの写真がでてきたのでこれを貼っておく。場所はカトマンドゥのハヌマンドカ。
下が、マハカーラの、日本でのお姿。
黒い像の裏に見えるのは、将軍家光から護国院に下付された大黒さまの絵。
ぜんぜん違う姿だね。
恐怖の神さまが、シルクロードから中国を旅して、はるばる日本へやってくる間に、性格がまるくなったのだろうか。日本では、大黒さまは財福神として人気が高い。
一体どんな事情で、これほどまでに性格が変わったのか、興味深い。
最後は不忍池の弁才天堂。
夏なら、一面を覆う蓮の葉が見事だが、冬はたいへん寒々しい。
弁才天さまは、芸術の神にして、仏教を護る神さま。
もともとは水の神さまなので池の中に祀られている。これは、どこの弁才天堂にいっても同じ。不忍池が、池としては途方もなく大きいのは、德川家の菩提寺の弁才天堂だったため。江戸という時代の裕福さが伺い知れる。
芸術の神さまということもあって、美術畑の仕事をしているぼくにとっては、数多くの神々の中で弁才天が最も身近で、いちばん好き。七福神の紅一点で、彩りを添える姿も好き。
今日の七福神巡りは、途中で谷中銀座に寄ったりしたこともあって4時間ほどかかった。
田端駅を歩き始めたのが午後1時きっかりだったので、暗くなる前に歩き終えないといけないから、あまり時間に余裕がなかった。途中でお茶を飲んだり、心ゆくまで景色を見たりして、のんびりと歩きたいならば午前中から歩き始めたい。
御朱印をすべて集めて嬉しそうだ。
ところで、当ブログのドメインのYatraは、インドの言葉で「旅」を表している。
七福神巡りは、撮影しながらの聖地巡りだからphotoyatra(फ़ोटो यात्रा)なのだ。
巡礼の最後に訪れたのは、あんみつ店のみはし。
ここのあんみつは、おいしい。
みはしは、ヨドバシカメラ上野店の隣にある。というか、みはしの方が遙か昔からここにある。ぼくは、ヨドバシカメラ上野店にはあまり行かないが、みはしには行く。
アメ横を通って、上野駅へ向かった。
今日はこれでおしまい。
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