一年を50万円で生活する方法
よく一緒に海外を旅する編集者に、
「有賀さんはお金を使わないですねえ」と感心された。
出版社の仕事で海外へ行くとき、
取材に関わる経費は出版社がもってくれる。
食費に酒代が含まれるかは、出版社の景気も関係するが、普通はビール２〜３本なら経費になる。それ以上のボトル数だとどうなるかはよく知らない。飲んべえの編集者とフォトグラファーの組み合わせなら、午前になってもまだグラスを重ねていることがあるようだが、ぼくはお酒を飲まないので、そういう場に居あわせることがほとんどない。ぼくは、酒類はグラス一杯あれば満足してしまうので。
食事中に飲むのは、ペリエか、サンペルグリノか、たいがいは水だ。別にお酒が嫌いなわけではなくて、単に弱いだけ。そして、おいしい水が好き。
おいしいお酒が、本当においしいことは知っているんだけど、グラス２杯目からは味がよくわからなくなるし。
そしてタバコも吸わないし、女遊びもしないし、お土産も買わない。
世界のどこへ行っても、現地でお土産がほしいと思ったことはほとんどない。
ヨーロッパでは、お店を巡れば素敵な服がいっぱいあるんだけど、試着をしたら、袖が長すぎたり、胸や肩が余ったり、似合わないことが多いので、自然と目が向かなくなった。日本人とヨーロッパ人は体格がぜんぜん違うから、ぼくに似合う服はヨーロッパではなかなか見つからない。
ぼくは、服も雑貨も、身の回り品は日本で買うようにしている。
そんな訳で、海外にいるとき、ぼくは自分のお金を使う機会がほとんどない。
ほしいものがないからね。気持ちのいい時間と空間があればそれでよし。
そんな、お金を使わないぼくの様子を見た編集者に、有賀さんなら『一年を50万円で生活する方法』という本が書けるんじゃないですか、と言われた。
そうかなあ？
いくらなんでも、それは無理だよ。
カメラもレンズも買わなきゃいけないし。。。