原爆が爆発した、その日も暑かった
何年か前に、広島で原爆被災者の方のインタビュー撮影をした。
その女性は当時、市内の小学校(国民学校)に通っていたが、8月6日はたまたま学校を休んで市内から少し離れたところにいたため、難を逃れたという。「ピカのときはね、」で始まる話は体験者だけに臨場感があった。
核爆弾が爆発するときはまず閃光が走り、続いて衝撃波がくる。それから巨大な破壊力が一帯を覆う。それを体験者は「ピカ」それから「どーん」と表現する。ピカドン。ぼくはその言葉を知ってはいたが、目の前にいるごく普通の年配の女性がそう話すのを聞いて、新鮮なリアル感を覚えて身体が震えた。
本当に、ここで原爆が爆発したのだ。
青い空に巨大なキノコ雲ができて、その下で10万余りの人が死んだ。
それが日常のなかのヒトコマだったことが怖ろしい。
学級でただ一人生き残ったことで、戦後は同級生の母親からなじられて「自分も死ねばよかった」と辛い思いをしたとも語っていた。
原爆ドームは、来日外国人ツーリストに人気が高い訪問場所で、多くの外国人がここではじめて核兵器の恐ろしさを知る。このような体験記を集めて、英語を初め各国語で出版が進むように日本政府も積極的に支援をしてほしい。
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