聖地ルンビニが2年後に激変する
雨季に聖地ルンビニへやってきた。
この季節は新緑が美しい。幸いなことにネパールにきてほとんど雨が降らず、撮影は順調だ。
ブッダの誕生地ルンビニは、タライ平野にある。少し先へ行けばインドとの国境だ。地平線が見えそうな平原は各所で田植えがされていた。
タライ平野の景色は、ブッダが誕生した2500年前とほとんど変わらないのではないかと思うほどのどか。
けれども実は、ルンビニ周辺の環境は急速に変わりつつある。
そもそも聖地ルンビニも、50年前はチベット人の巡礼以外に訪れるものは少なく、宿泊施設もなかったそうだ。それが1978年に国連主導で丹下健三設計による聖地整備計画が決まり、後に世界遺産に指定され、来訪者が増加した。今ではホテルや安宿が多くある。
ルンビニ近くの町バイラワの空港の名称はゴータマ ブッダ空港という。
これがターミナルビルと管制塔。
30人乗りのプロペラ機が1日に数便飛ぶ程度の小さな空港だ。
まるで田舎のバスターミナルみたい。ぼくはこのひなびた空港が好きだった。
それが、なんということだろう、先月から国際空港化のための拡張工事が始まった。竣工予定は2017年12月31日。3000m級の滑走路をもち、年間60万人が利用できる空港へと生まれ変わる。これが完成予想図。
そんな大それた計画を立てて果たして利用者がいるのだろうか?と思ったら、なんとカトマンドゥ空港が2018年から2年間閉鎖されて改築され、その間に国際空港の機能が暫定的にバイラワに移される手筈になっているそうだ。日本からの訪ネ客も、まずバイラワに到着し、それから国内線でカトマンドゥへ飛ぶことになるのだろうか。詳細はまだ分からない。
ゴータマ ブッダ空港は、更に2027年には200万人の利用を見込んでいるという。この動きを見て金儲けにさとい中国資本がなだれ込んできた。大型の開発プロジェクトが次々に発表されている。お陰でルンビニ周辺の土地の価格はこの一年間で900%も上昇したという。
静かな聖地は、急速に俗地へと変化しつつある。
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