スペイン 聖イグナチオ洞窟教会に描かれる高山右近のモザイク壁画

スペイン

フランシスコ ザビエルにアジア行きをそそのかしたイグナチオ ロヨラは、その後、バルセロナ近郊の小都市マンレザの断崖にある洞窟で瞑想を始めた。その洞窟の上に、現在は聖イグナチオ洞窟教会 Cova de Sant Ignasi が建っている。

バルセロナ近郊マンレザの聖イグナチオ洞窟教会

東京四ッ谷の聖イグナチオ教会の大本のような存在か。イグナチオの人となりとその瞑想の意義について知りたければ上智大学のウェブサイトに簡潔に説明してある。あるいは岩波文庫にも著作がある。イグナチオの瞑想は「霊操」といい、上智大学建学の基本理念になっているそうだ。

この教会へはるばる歩いて巡礼に来る人もいるらしい。
礼拝堂には水色の衣装をまとったマリア像が安置してある。

聖イグナチオ洞窟教会礼拝堂

左側廊から奧へ進むと、奧にイグナチオが籠もって瞑想をしていた洞窟が保存されている。

イグナチオが瞑想をした洞窟

洞窟への通路はさまざまな装飾がなされているが、注目すべきは右上のモザイク画だ。そこには戦国時代にキリシタン大名だった高山右近が描かれている。右から3人目が右近殿。

キリシタン大名の高山右近

JUSTO UCANDONOと書かれている。JUSTは高山右近の洗礼名で、スペイン語だからフストと発音する。その意味は英語のjustと同じく正義・公正・公平をあらわしている。

キリシタン大名の高山右近2

右近殿は日本のサムライらしく刀を差し草履を履いているが、それ以外の服が何をイメージしているのか分かりにくいのが少々残念。刀も大小の2本差ししてほしいところだ。

高槻の領主であった高山右近は、イグナチオの霊操を2度行っていたそうだ。イグナチオと右近は生きた時代が僅かながら重なっており、右近はイグナチオの遠方の弟子だったといえる。没後400年が過ぎた本年(2015年)になって、ローマ教皇庁において福人に列せられることがほぼ決まったらしい。

聖イグナチオ洞窟教会は歴史上なんども増改築が繰り返されていて、この部分の装飾は20世紀になってから作られたもの。

ここがイグナチオが瞑想をした洞窟。

イグナチオが瞑想した洞窟

1522年当時のここには建物がなく、崖に洞窟があいているだけった。

今では採光窓から外の光が入っている。椅子が置いてあったので、座って少しのあいだ瞑想をした。洞窟とはいえ、ここは空気が澄んでいる。ヨガをしたら気持ちがいいだろう。

イグナチオ ロヨラの肖像イグナチオの肖像、ルーベンス作、米国ノートン サイモン美術館収蔵

聖イグナチオ洞窟教会

増築を繰り返された聖イグナチオ洞窟教会。

手前の橋はローマ時代からあり、現在も人の往来に使われている。イグナチオが瞑想した洞窟は、町の外でありながら街道に近いところに位置していた。

町の名前のマンレザはカタルーニャ語読みで、スペイン語ではマンレサという。ここはカタルーニャ地方なのでマンレザと書くのがふさわしい。

マンレザ郊外から見たモンセラット。
モンセラットとマンレザはカタルーニャの精神的中心地だ。

モンセラット

北側からみるとモンセラット(のこぎり山)はその名にふさわしい切り立った形をしている。

本文・写真の無断転載を禁じます。ブログ筆者はプロのフォトグラファーです。写真の転載には使用料が発生することにご留意ください。

ブログ内の関連記事

Sponsored Links

スペイン

Posted by ariga masahiro