チベット最古の寺院、サムイェ

チベット

ヤルツァンポ川沿いのロカ地方はチベットの発祥の地と言われている。チベット王国も、チベット仏教も、この地方から始まった。およそ2000年前の神話時代に建てられたチベット最初の王宮ユムブラガンもこの辺りにある。

ヤルツァンポ川の右岸を走り、砂丘や峠を越えて、サムイェ寺に到着する。
サムイェ寺は、8世紀に建てられたチベットで最初の僧院。

ラサのジョカン寺はこれより数十年古いが、当時のジョカンは仏像を安置したお堂であって、まだ僧侶はいなかった。仏・法・僧の三宝が揃ってゴンパ(僧院)となったのは、このサムイェがチベットで最初なのだ。チベット王の招かれて、神通力に優れたインドの密教行者グル・リンポチェ(パドマ・サンバヴァ)が、土地の神々を手なずけて完成させたと伝えられている。

大集会堂にあるグル・リンポチェの像。

チベットの仏教は「密教」というスタイルで、日本の真言宗に近い。チベット仏教の祖グル・リンポチェはさしずめ弘法大師みたいな存在かな。するとサムイェは高野山みたいなものか。

サムイェ寺は、寺院の境内がマンダラに則って配置されている。
中心に建つ大本殿は、世界の中心に聳えている妙高山を意味している。妙高山といっても新潟県の山ではないよ。こちらは世界の中心なのだ。又の名を須弥山という。

大本殿の四方には仏塔が配置されていて、これは世界の4大陸を表している。

サムイェでは僧侶もお酒を飲むし、神々の像にもお酒が供えられている。日本の「御神酒」みたいなものか。ただし寺院内は禁酒で、僧侶がお酒を飲んでいいのはマンダラ界の外で。

仏教なのにお酒を飲んでもいいのか?と思うかもしれないが、密教寺院は在家主義だから「一滴も飲めない」みたいに厳しくはない。

それからついでに、よく誤解されているけど仏教は肉食を禁じておらず菜食主義ではない。これはお釈迦さまの時代からそうで、お釈迦さまもお肉を食べていらした。仏教は「出されたものは何でも尊くいただく主義」で、どうぞと出された肉を断って棄ててしまうようなことはしない。それでは料理人にもお肉にも申し訳がない。

だから仏教には食べられないものはない。以前、来日したタイのお坊さんがカツ丼を気に入って、お代わりまで召しあがったところを見たことがある。

大本殿の本尊は釈迦牟尼仏。この写真ではわかりにくいけど、仏像の上部にはガルーダがおかれ、左右には龍が配置されている。これらは天竜八部衆(仏法を守護する8神)に属する。

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Posted by ariga masahiro