白川郷の夜
白川郷では、今は民宿になっている合掌造りの家に泊まった。
ことに夕方の雰囲気が素晴らしい。
雨が降ったので、空気はひんやり、しっとりしている。
この辺りは外国人ツーリストが多いが、白川郷は狭い村だけに外国人を本当によく見かけた。国籍別では、台湾や香港など中華系の人、タイ人、それから西洋人(十把一絡げに西洋人というのもなんだが、黙って歩いているとどこの国の人か分からないので)が目立っていた。
民宿は、日本人の宿泊客はぼくだけだった。他には台湾人夫婦が一室、それからアメリカ人のグループ客が二室に分かれて泊まっていて、これで全4部屋の宿は満室だった。女将によれば、数年前から宿泊客のほとんどは外国人ということだった。白川郷は、金沢や富山から日帰りできる距離だから、忙しい日本人ツーリストは見学だけして通り過ぎてしまうらしい。
どこの田舎でもそうだろうが、夕暮れ時は静かで、村民で外出する人はいない。散歩をしているツーリストもほとんどいないが、すれ違ったのはいずれも西洋人だった。台湾人はこの時間に歩く趣味はないのだろうか?
民宿は、外観は独特な合掌造りではあっても、部屋はふつうの6畳和室だった。向かいの部屋から、アメリカ人たちがふすまを開け閉めする音が聞こえてくる。チラリと見えたその部屋では、敷き詰められた布団の上で浴衣姿のアメリカ人が寝ころんでおしゃべりしていて、まるで修学旅行の学生たちがはしゃいでいるような風情であった。
翌朝は天気が、まあまあよかった。
すべてGX7を手持ちで撮影した。
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