ネパール地震、生き残った女性が素手でしなければならないこと
カトマンドゥ市の水源地に近いサクーは、ネワール人が住む古い町だ。
カトマンドゥ盆地内で震災の被害をもっとも大きく受けた町でもある。
風に吹かれて埃が舞う。
およそ1000棟の家が倒壊したという。
倒壊した家を片付ける作業は、生き残った人たちがやらなければならない。ショベルカーのレンタル料は初日が無料で、2日目から2万ルピー(約2万4千円)かかる。被災者に払える金額ではないから結局は手作業でするしかない。
しかしどこから手をつけていいのかも分からない。
ネパールでも都市に住む若い女性は重いものを持ったことがない。やっていることは右にある石を左へ放り投げているだけで、片づけになっていない。
そもそもこれだけの廃材をどこへ片付けたらいいのか。無策な政府は何の指針も示さないし、といって自分たちではどうしたらいいか見当もつかない。
自宅を素手で掘る女性。
ちっとも作業が進まない。進めようがない。
彼女は、この家の下で母と兄弟姉妹を4人亡くしたという。
今後の生活に使えるものを掘り出そうとしているが、何個か石を持ち上げただけで疲れてしまう。一緒に作業している叔母は座り込んでしまった。
一家全滅した家や、子供だけが残された家は、そのままほったらかしになっている。代わりに片づけをする人もいない。
来週から雨季に入る。
ネパールでは、雨は6月中旬〜9月中旬の雨季に集中し、その間は滝のような雨が降ってくる。そうなったらどうしたらいいのだろう。
政府の無為無策に、ネパールの人々はかなり怒りを蓄積しているらしい。農民はこれから農業の繁忙期だからしばらくは仕事にいそしまなければならないが、畑作業が一段落する9月後半になると怒りが爆発するのではないかと囁かれている。怒りの矛先はどこへ向かうのだろうか。
2008年の王制崩壊以降も、いまだに憲法が制定されずにいるネパールでは、ここ20年続いた政治的混乱が地震によって拡大し、国全体が動乱に向かうのではないかという予測もある。
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