歩きやすい靴は、ときにカメラよりも重要な撮影機材だ

撮影機材,ネパール

ネパールは、ヒマラヤの国と呼ばれるくらいだから、国土のほとんどが山岳地帯。ぼくはこの国を、たぶん40回以上訪れている。

ヒマラヤの国といっても、普通のネパール人は険しいヒマラヤ山中に住んでいるわけではない。

ほとんどのネパール人はその麓の丘陵で牧歌的な生活している。丘陵といっても標高2000mぐらいあったりするのだが、この写真を見て分かるように、ネパールの家は庭木としてバナナの木が植わっているくらいだから、気候は亜熱帯に近く、穏やかで日本の山地よりも過ごしやすいかもしれない。

歩いた距離に応じていい写真が撮れる

ぼく自身、山屋さんではなくフォトグラファーだし旅人(というかお気楽なトラベラー)だから、登山を目的にネパールを訪れたことは一度もない。トレッキングは何回もしたことがあって、標高5500mのエベレストベースキャンプまで片道10日間かけて歩いていったこともあるけど、それはあくまでトレッキング。登山ではないしね。

登山とトレッキングは難易度がまったく違う。

ネパールの国土のほとんどは道路が未整備でダートばかり。スナップ写真の成果はダートの道を歩いた距離に比例するから、撮影旅行に出かける際はよい靴を選びたい。
ぼくが、里山やダートの道を歩くときに履く靴はこれ。

駒込にある登山靴専門店ゴローが、「運動靴」としてラインナップしている鉄人運動靴てつだ。

この靴はセミオーダーができて、ある程度、自分の足に合わせて形を作ってくれる。ぼくの足のサイズは、右足が25.5、左足が26だから、靴を買うときは左右別々のサイズを選ばなければならないのだ。余談だが、足のサイズが左右で異なる人の割合は日本人の30%以上もあるそうで、そうした人が右と左でサイズを履き分けないと、足の形が崩れてしまう。現代人に足が崩れている人が多いのは、自分に合わない靴を履いていることも理由のひとつだ。

すべり難いビブラムソールで安心

てつの靴底は、ビブラム社のグリップ力に優れるソールを採用している。これが大変優れもので、安定感がよい上に、濡れた石畳でも滑らない。肩からいくつもカメラをぶらさげたままスッテンコロリン、という心配がまずないから、安心してどこでも歩いて行ける。ウォーキングシューズとしては最強の靴だ。

てつは運動靴と言うには非常に頑丈で、なんと厚さ2.8mmの皮を使っている。この皮は厚くて硬いから足に馴染むのに結構時間がかかる。ぼくは奥多摩へ何度も山歩きにいって時間をかけて足に馴染ませた。こんなところも普通のスニーカーとはぜんぜん違う。

登山靴店の感覚で運動靴というとこうなるのだろうか?。この靴は、奥多摩の山歩きくらいなら普通に歩ける。

また余談だが、ネパール人が山というときは標高6000m以上のヒマラヤのことをいい、標高5000m以下は山ではなく丘という。ネパール人に「山へ行ってきました」というと「ヒマラヤ登山をしてきた」と受けとられるから、奥多摩の標高1800mの峰を縦走したくらいなら「丘を歩いてきました」と言わないと話が通じない。

で、鉄人運動靴はそんなHillside walkingにちょうどいい靴である。

靴下もいい物をえらぼう

靴下は、ユニクロで売っているような普通の厚さの靴下ではなく、中厚以上のウォーキング用を用意しよう。並みの靴下では足の皮が負けて痛いかも。

足に馴染ませるのに時間をかけていられない人は、てつでなく、ややソフトな小春を選べばよいかもしれない。詳しくはお店で相談して下さい。ゴローの靴は、一度足になれると、ソールを何度でも張り替えられるから、長期的にみれば経済的で履きやすい靴だとといえる。

登山靴店の靴だからといって外観が厳ついこともない。友達の女性フォトグラファーに勧めたら早速注文して、これを履いてブライダルの撮影もしている。ロックミュージシャンの友達から「かっこいい靴だね」と言われたとか。タウン用としても合格な靴だ。

タイトルの「いい靴は、時にカメラより大切だ」は、尊敬する報道写真家セバスチャン・サルガドが、雑誌Switchのインタビューで写真家のハナブサリュウに語った言葉。ぼくはこの言葉を聞いて以来、いろんな靴を試してきた。今回の話が、撮影機材のカテゴリーに入っているのも、そうした理由による。

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