スペインde花見、桃の花で埋め尽くされた美しい丘へ行ってきたよ
スペインに、桃の花で埋め尽くされた美しい丘があるというので行ってきたよ。本当に、ピンクの花が地平線までずっと咲いていた。
場所はカタルーニャ地方の古都リェイダ Lleidaの郊外。ああ、あそこね、とヨーロッパの古い歴史に詳しい人ならピンとくるであろう。紀元前3世紀にローマによるイベリア半島の支配を決定づけた戦いがあった町だ。歴史好きや歴女ならいちどは行ってみたいと思ったことがあるはず(たぶん)。
3月14日、ぼくはマドリード〜バルセロナ間を走る高速鉄道AVEに乗った。列車がリェイダ近辺にさしかかると窓外に桃の花をよく見かけたが、花見の名所として特に有名なのはリェイダから南西へ20kmほど離れたアイトナ Aitonaという町。リェイダ駅でAVEを降りて、駅前でレンタカーを借りてアイトナを目指してハンドルを握った。
桃源郷アイトナに到着
アイトナは、セグレ川の河川段丘に開けた人口2500人程度の小さな町だった。中心にはスペインならどこへいってもそうであるように教会が建っている。その向かいの町役場の入口にⓘの表示(ツーリストインフォメーションのこと)があったので中に入ったら、そこは普通の役所で、観光案内カウンターがあるわけでもなく、かろうじて英語を話せる男の人がたいへん親切に相手をしてくれた。
アイトナの地図とパンフレットをくれて、周辺の景色のいいウォーキングコースをいくつか教えてくれた。セグレ川を越えて南側を歩くコースが、とくに眺めが良いそうだ。それからスポーツセンターが花見関連の特設会場になっていて必要な情報はそこで得られるから行ってみてください、とのことであった。
桃源郷をレンタカーで走り抜ける
アイトナは農業で成り立っている小さな町。ちょっと車を走らせるとすぐに住宅がなくなり、郊外には羊の群れが移動していた。
セグレ川は、ピレネー山脈の向こう側、フランスに端を発する渓流で、有名なエブロ川に合流する。エブロ川は紀元前にローマとカルタゴの国境だった川で、ハンニバル将軍がこの川を越えてはじまった第二次ポエニ戦争は世界史で必ず習うエポックだ。
それはともかく、セグレ川を渡った先は桃の花が一面に広がっていた。
天気はよい。3月は季節の変わり目らしくイベリア半島もやや気候が不安定なのか、晴れたり雨が降ったりしてたんで、ちょっと空模様を心配してたんだけど、結構いい感じに晴れてくれた。
ただし、この日は風が強くて、上のような花のアップを撮るのはけっこう大変だった。風で枝がびゅんびゅん動いてしまい、構図がとれない。シャッタースピードを1/1000秒にしてなんとかピントの合った写真を撮ることができた。
今日のランチは、レストランに入る時間はないから、その代わりにこの景色を見ながら持参したものを食べることにする。ランチにするつもりで残しておいた朝食の果物やパン、それだけでは足りないからアイトナのスーパーで買ったお菓子と炭酸ミネラルウォーターだ。
ぼくが借りたのは、白いマツダのスカイアクティブ。AVISで2番めに安い車だった。いちばん安かったのはFiat 500。ルパン三世が乗ってる車(旧型の)で風情あるしそっちにしておけばよかったとちょっと思った。
左ハンドルのマニュアル車を運転するのはハラハラする。ギアを右手であやつるんだけど、右手はそう動かすのはどうも慣れない。
で、ランチを終えたら、いちどアイトナの町に戻って、役所の人が教えてくれたスポーツセンター(町営体育館)へ。館内では地元業者が桃の蜂蜜や缶詰を販売しているほか、ピンク色のベストを着た女の子が英語で、桃の花ツアーの受付もしていた。
バスに乗って花見ツアーに参加
桃の花ツアーは、バスに乗ってガイドの案内を聞きながらぐるっと周辺の桃園を1時間半ほどで回るツアー。スポーツセンターから発着し、1日に数便ある。ネット予約できるのだが、席があればここで当日券を買える。この日の午後1時発のツアーは客が少なくて、ぼくのほかに10人もいなかったと思う。人気がないわけではなく、午前発のバスはいずれも満席だったので、たぶん午後1時発のツアーに参加するとスペイン人のランチタイムと被るから参加人数が少なかったのだと思う。
バスはこんな感じ。赤いベストのおじさんがガイド。スペイン語だけのツアーだからぼくには解説はさっぱりわからない。
レンタカーを借りているにもかかわらず、あえてツアーバスに参加したのは訳がある。それは、アイトナでもっとも美しい桃園は個人所有の農園で、ツアーバスに参加しなければ園内に入れないからだ。他の畑と一線を画す、幾重もの丘陵に桃園が重なるダイナミックな写真を撮りたいなら他に方法はない。
ツアーの時間は、アイトナのスポーツセンターを出てから、1時間40分くらいで同じ場所に戻る。個人農園で桃の花を自由見学してから、帰りのバスに乗るときには点呼をとらないから、指定時間にいないとバスに乗り遅れる。それが最終バスだったら歩いてアイトナへ戻らなければならないし、実際にそうしたツーリストがいるところがスペインらしい。
見上げればどこまでも青い空。その下に広がる桃色の大地。色のコントラストを楽しんで、ぼくはリェイダへ戻ることにした。
古都リェイダに戻る
アイトナとリェイダは、同じセグレ川に面している。リェイダは紀元前49年にかのユリウス カエサル(ジュリアス シーザー)もこの地で軍を率いて戦っている。「賽は投げられた」の台詞で有名なローマ内戦の一環だった。
2000年以上前から戦乱を耐え抜いてきた街だけあって、リェイダは川の向こうに要塞のようにたたずむ都市だった。アイトナから戻ってきたらAVISの営業時刻を過ぎていたので、レンタカーの返却は翌日にすることにして、ホテルへ直行した。ホテルの部屋から、旧市街に沈む夕日と夕焼けを眺めてパチリ。
こうして今日も1日が終わる。
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アイトナの自治体による桃の花見のサイト。日本語ページなので読んでみて
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