あゝ原点はこれか、東京都現代美術館の石岡瑛子展で見た自分の原点
少し前のことだが、東京都現代美術館へ石岡瑛子展を見にいった。場所は木場公園の一角。
それにしても木場公園は広いなあ。南北1kmほどもあって、景色にパースがついて見える。
石岡瑛子については、いまさらここで述べる必要もないだろうけど、20世紀に活躍した世界的アートディレクター。ぼくは学生の頃、パルコの広告で藤原新也の写真を扱ったエスニックな作品にしびれたものだった。
といっても同時代に駅貼りポスターを見たのではなくて、後から作品集を穴が開くほど見つめたのだが、大判ポスターの実物を見たいなあと思ったことを覚えている。
青い空と、紅いサリー、黄色い大地。色のコントラストがすごい。
パルコのポスターを見てグラフィックデザイナーを志した若者は少なくないと思う。
ぼくもこういう美しい作品をつくりたいと舞い上がって一時デザイナーになろうとしたが、そのうち、ぼくは広告のアートディレクションをしたいのではなくてこういう写真を撮りたいのだということに気がついて軌道修正してニコンF4を買い、ラージャスターンへ旅立ってこんな写真を撮ってきた。
ぼくの最初の作品だ。以来、今に至る。この写真を撮ったレンズ、Nikon AF85mm/f1.8sは今も持っている。
木場公園の東京都現代美術館へ
さて、木場公園を20分ほど歩いて、東京都現代美術館へ。
広大な公園をテクテク歩くと、現代美術館が見えてくる。周囲はマンションが並んでいて、こんな美術館と公園に面したマンションに住んだら気持ちがいいだろうなあ。
ぼくはかけだしのころに賃貸木造安アパートに住んで以来これまで、住んだところはすべて、窓からの景色が広々としていることを最重要項目として物件を選んだのだが、それにしてもこんなに広い公園に面して住んでいたらステキすぎる。
東京都現代美術館の側面に到着。エントランスは左の方へずっと歩いていったところ。
広々としたエントランスホールは閑散としていた。石岡瑛子展は予約がいるんだけど、予約サイトを見たら1/3程度しか埋まっていなかったから、ウォークインでいつでも入場できる。
美術館は、まずレストランから
美術館に入ったら、まずはレストランへ。100本のスプーンという絵本のタイトルみたいな名前の店だ。ぼくは美術館のカフェやレストランが好きなのだが、ここは二子玉川園やあざみ野に支店をもつ、ややハイソなファミレスらしい。
12時より少し前だからか、店内に客は少なかった。
「オトナのランチコース」という名称のランチは、前菜・メイン・パン・デザート・飲み物がついて2190円。まあまあな値段。
二子玉川園やあざみ野の店は基本的に高級ファミレスで乳幼児向けメニューも充実してるようだけど、ここは場所柄大人向けなのだろうね。
前菜のサラダ「季節の前菜」
メインはビーフィシチュー。
寄って撮ってみました。カメラはGR3でございます。いつものことですが薄暗い席で、地明かりだけで撮影してもきれいに写るカメラでありますな。
デザートとコーヒー。
ゆっくり食事をしてから、石岡瑛子展へ。
石岡瑛子展へ
真っ赤に塗られたエントランスを通り抜けると、はじめに、資生堂ビューティーケイクのポスターが展示されていた。
1966年に制作された、日本広告美術史上たいへん有名なこのポスターを知らない人はいないだろう(そんなことないか?、でも当ブログ読者ならどこかで見たことがあると思う)。
といってもぼくも実物を見るのは初めてかもしれない。
日本初のハワイロケをしたことでも有名で、撮影はあの横須賀功光さんなんだけど、横須賀さんはスタジオ撮影のポートレートは得意でも外ロケは不得手なことがロケ中に判明したとかで、このポスターを仕上げるまでにはデザイナーが後処理にたいへん苦労したという話が興味深い。
身につまされる話というか、いろんなことがあるものですなあ。
伝説のポスターの近くによってみたらオフセット印刷の網点がすごく大きくて、しげしげと見つめてしまった。B1なのにこんなに大きいのか…昔はこれが普通?
たいへん充実した展示会で、藤原新也のパルコのポスターもあったので堪能して、角川のアートワークなど無数の作品を見ていたら、たっぷり4時間近く会場内にいたのだけどそれでも時間が足りなかった。もう一回行きたいものだ。
ぼくは広告写真にはあまり興味がなくて、自分で撮影をしたいとそれほど思わないのだけど、石岡瑛子のパワフルな作品は「広告写真」や「ドキュメンタリー写真」といった分野を超えて迫ってくる。
3月19日まで石岡瑛子のグラフィックアート展
都立現代美術館での石岡瑛子展は終了したが、銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリーで3月19日まで石岡瑛子のグラフィックアート展がやっているから、気になる人はこっちも見に行ってくだされ。入場無料。
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