マルディ ヒマール トレッキング、天界と人間界を見渡す標高4000mの展望台

ヒマラヤ,ネパール

最近人気のマルディ ヒマール トレッキングへ行ってきました。

ネパール中央部、アンナプルナ ヒマラヤ全景とマルディヒマール

写真はアンナプルナヒマラヤ全景、左にダウラギリが見えます。神々の座ヒマラヤと呼ばれるのにふさわしい威容です。中央の尖った頂が聖なるマチャプチャレ 6993m。その左下方の小さな頂がマルディ 5587m

今回はマルディヒマール ベースキャンプへポカラから4日間で往復するミニトレッキングをしてきました。

DAY1 ポカラからフォレストキャンプへ

ポカラから見たマチャプチャレとマルディヒマールポカラから見たマチャプチャレとその左にマルディヒマール。2日後にあそこに到着します

7:10 レイクサイドのホテルを出発

ポカラのレイクサイドを午前7時に出発。ホテルの前でタクシーに荷物を載せて助手席に乗り込みます。同行するのは、いつもぼくのトレッキング ガイドをしてくれるシェルパのミンマくんと、彼が連れてきたポーターのオンチュくん。

インド製小型タクシーは、メインロードを外れてサランコットの丘への道を登ります。尾根道は見晴らしがよく、ポカラの町と湖を眼下にして車は走ります。

サランコットからポカラとフェワ湖を望むサランコットからレイクサイドを見渡す

サランコットからノーダラまでは農村の旧街道を走り抜けます。

サランコットからノーダラへ続くカースキ道路

ガイドのミンマくんは、昨日まで英国人カップルのガイドをして、ゴレパニ峠へトレッキングしていたそうです。そちらを終えて翌日には、ぼくとトレッキングに行くのですから売れっ子ガイドは忙しいですね。

8:10 カーレ バザール

ホテルからきっかり1時間で小さなバザールの村カーレに到着。料金はRs1750。ここから、尾根の上のオーストラリアン キャンプへ歩き始めます。

オーストラリアンキャンプへの出発点となるカーレの村

オーストラリアンキャンプとは、その昔、オーストラリア人が眺望のいい場所を見つけてキャンプをしたことでその名がついた峠。そこからは正面にマチャプチャレが見えるばかりでなく、標高8156mのマナスルも見えます。

9:04 オーストラリアンキャンプ着 2200m

カーレからオーストラリアンキャンプへは、森の路を1時間ほど歩きます。

カーレからオーストラリアンキャンプへ続く石段

ほかにもチラホラとトレッカーがいます。

ミンマくんとおしゃべりをしながら山路を歩いていたら、途中で、黙って佇む西洋人たち10人ほどと遭遇しまして、超望遠レンズをつけたニコンの一眼レフを首から下げていている様子からバードウォッチングをしているのでしょうが、シーンとしている人たちの間をおしゃべりしながら抜けてちょっと気まずかったです。

バードウォッチングをしている人々

一汗かいて、オーストラリアンキャンプに到着しました。かつてはテントを張る以外に寝泊まりすることができなかった丘は、いまではロッジが6軒もあります。

オーストラリアンキャンプのロッジとアンナプルナ ヒマラヤの眺望

やはりここからの展望は見事です。オーストラリア人はよくこの場所をみつけたものです。ぼくの当初の予定では、ここに一泊してヒマラヤの眺めを堪能するつもりでした。

しかーし、天気予報を見たら4日後、ぼくが標高4500mのマルディ ベースキャンプに到着する頃は豪雨っぽいです。そこで、予定を早めることにして心ならずもこの美しい丘を通り過ぎて、先へ急ぎました。今年のネパールは天候不順で雨が多いそうです。

天気予報のスクリーンショット

こんなに天候不順だと心配ですね。ぼくはハズレの無い晴れ男という評判を得ていますが、今回はハズレかもしれません。いまのところ抜群によい天気だから、天気予報がハズレてくれることを願うばかりです。

オーストラリアンキャンプからのアンナプルナヒマラヤを見渡す

ああ、ここで一泊したかった….。と、後ろ髪を引かれる思いで、歩を進めました。

オーストラリアンキャンプにはACAP(アンナプルナ自然保護協会)のチェックポストが新設されていました。ここで自然保護区の入園料を支払わなければなりません。

本来ならトレッキング出発前に入場料を払っておかないといけないところを、天気予報をみて早めに出発したせいで払っていなかったため、ペナルティとして入場料を2倍を支払わなければならず、青空と美しい景色と対照的に、いささか心苦しい胸の内なのでした。

9:35 ポタナ着 1890m

分かれ道にはたいがい標識があります。「マルディ→」と書かれた標識が多く、マルディ ヒマールが近年の人気コースになっていることが伺えます」

マルディ、ランドルン、アンナプルナBCを指す看板

オーストラリアンキャンプからポタナまでは下り路を30分ほど。ここでティータイム。

ポタナでひとやすみ

ここは小さな集落です。本当はオーストラリアンキャンプで、せめて絶景を楽しみながらお茶をしたかったのですが、ネパール人のガイドとポーターの希望で、ポタナでお茶にします。

「希望」といっても彼らがそう主張したのではなくて、なんとなくポタナのほうがよさそうな雰囲気を醸しだしているんです。

ネパール人にはネパール人のペースがあります。彼らは朝の起床後に食事をとらず、お茶だけを飲んで歩き始めます。すると9時過ぎにおなかが空くから、そのタイミングでクッキーとお茶の時間になります。それがちょうどここポタナなんですね。

ちなみにネパール人のランチは午前10時半頃。

日本人にとって当たり前な昼食時間の12時は、彼らには遅すぎます。ぼくもトレッキング中は彼らに合わせて午前11時ごろにランチを食べるようにしています。

まれに「ランチ時間が早すぎる」と怒る外国人ツーリストがいるんですが、一日二食のネパール人にとってはランチは朝食を兼ねているので、早いのは当たり前なんです。

ともあれ、一休みしてお茶はここでいただきました。

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10:45 デオラリ着 2149m

デオラリとは日本語の「峠」みたいな意味で、そこら中にある地名です。ポタナから35分ほど。ここでランチをします。

途中、ACAPが設置したアンナプルナ トレッキングの標識がありました。ネパール人の娘二人が標識を前に自撮りしています。

ACAPが設置したアンナプルナ トレッキングの標識

この二人はたいへん愛嬌のある子たちで「一緒にマルディへ行きましょう」と言ってくれて、デオラリで一緒にテーブルを囲んでランチを食べました。けれども、その後はいつの間にか姿を見かけなくなってしまって、たぶん寒さと雪で途中で歩くのをやめたのでしょうね。

15:20 フォレストキャンプ着 2500m

このあたりの分かれ道には、マルディの方向に黄色い矢印が描いてありました。黄色い矢印なんて、まるでスペインのサンティアゴ巡礼路の案内表示みたい。

行き先を示す黄色い矢印

しかしスペインの景色とはなにかが違います。水牛がいることかな?

マルディへ続く果てしない石段

石段の先にあるカフェです。これもスペインの山中のカフェとはずいぶん違います。

途中の茶屋

ちょうどここで、西洋人の家族連れらしい4人組がぼくに追いついてきました。彼らの挨拶の発音がスペイン語っぽかったのでどこから来たのかを訊いたら、アンダルシア州グラナダから来たとのことでした。やっぱり!一緒にカフェに入ろうかと思いましたが、このカフェでは、ちょっとねえ…。

カフェを通り過ぎてしばらく歩いたら、初日の目的地、フォレストキャンプに到着しました。

フォレストキャンプに到着

DAY2 ハイキャンプへ

落ち葉がたまる山路を歩く

7:30 フォレストキャンプ発

  • 室内 4.6度
  • 屋外 2.1度

標高2500m フォレストキャンプの朝6時半の気温

起床は朝6時。室内と屋外の気温は大差ないです。室内でも冷蔵庫の中と変わらない。

朝7時に出発するつもりだったのですが、例によって朝食のクッキングに時間がかかり、食べ終えて出発したら7時30分をまわっていました。暖かいチベタンブレッドを頼んだのが失敗だったようです。朝食はシリアルか、せいぜいボイルドエッグにするのが調理時間がかからなくて正解。

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フォレストキャンプから3時間ほどは森の中を歩きます。見晴らしはぜんぜんありません。しかもこの道はヒマラヤとは尾根の反対側の山腹についているから、木々の間からもひまらやの白嶺はまったく見せません。

9:39 ロウキャンプ着 2990m

フォレストキャンプの次は、ロウキャンプです。ちょうど9時半、ネパール人のティータイムなので、ここでクッキーを食べていきます。

ロウキャンプ着

20〜30分休んだら、出発。

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桜草がたくさん咲いていました。冷たい風に揺れて可憐な感じ。

標高2500mに咲く花

このあたりから雪が残っていて、道がぬかるんだり、凍っていたりして、たいへん歩きにくい。

ネパールの地図はあてにできない

ここでネパール製の地図について触れておきます。

NEPA Mapというトレッキング地図があります。たいがいのトレッカーはタメルの書店でこれを買います。ぼくも持っています。

しかしこの地図はテキトーで信頼できません。赤丸で囲んだフォレストキャンプとロウキャンプの標高をみてください。どちらも3050mです(ロウキャンプはオリでスレて見えにくいですが)。一体どうなっているんでしょうね。

ネパール製のアンナプルナトレッキングの地図

青丸で囲んだ等高線は"2800m"。この等高線よりも低いフォレストキャンプが3050mと記されているんですから、この地図製作者は地図が読めないんじゃないかと心配になります。それに、このトレイルの位置も間違っていますしね。

ネパール製の地図は間違いが多いです。地形を確認するとき、ぼくはドイツ製の地図を見ることにしています。

11:00 ミドルキャンプ着 3257m

道が尾根にかかり森を抜けると、ミドルキャンプに到着します。森林限界を超えて見晴らしがよくなります。

バダルダンダと呼ばれる尾根を歩く

曇っていますね。晴れていれば正面にヒマラヤが見える筈ですが、天気予報のとおり、雲が広がっています。この尾根はバダルダンダBadaldandaといいます。別名をミドルキャンプです。

バダルはネパール語で「雲」の意味ですから、日本語なら「雲の尾根」というと据わりが悪いので、雲取山とでも言ったほうがしっくりきそうです。名前のせいか今日も雲が垂れこめています。

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バダルダンダともミドルキャンプとも呼ばれるこの丘には、ロッジが点在していて、はじめのロッジから最後のロッジまで歩くと30分ぐらいかかります。そのひとつで、ランチ休憩をしました。

マルディ トレッキングではコース上のどの店のメニューも共通で、料理もデザインもまったく同じ。違いは、標高が高くなるにつれて料金が高くなることだけ。

昨晩とまったく同じメニューにはピッツァとかアップルパイとか書いてあるけど美味しいわけがないから、食べたいものがありません。このルートには村がなく、途中の宿泊施設や茶屋はすべて"トレッカー向け施設"だから、民宿にはある"お袋の味"が無くてつまらないことも食欲がわかない理由です。

マルディのメニュー

その上、少ない人数でロッジの切り盛りをしているからクッキングに時間がかかります。そんなこともあって昼食はネパール定食のダルバートを頼むことが多いですね。ダルバートはカレーの一種で通常はすでに出来ていて、別名ready made food。ガイドやポーターは間違いなくダルバート食べるから、注文すればば3人分がすぐに出てきます。

と、思っていたのですが、まだシーズン前でほとんど客がいないらしく、ぼくが注文してからお米を炊きはじめたため、出てくるまで1時間ほど待つことになってしまいました。

ネパール定食のダルバート

左のメニューに掲載されている写真のダルバートとはずいぶん違います。ネットで見つけたいい写真を勝手にダウンロードして使っているからキレイに写っていますが、山中ではこんなに洗練されたダルバートは実際にはありません。

ハイキャンプへの雪道

食事を終えたら、外は雪が降っていました。天気予報の通りです。低地で雨が降る日は、高地では雪になります。

雪が降り始める23 131355

幸いなことに、そんなに大雪にならず、降ったりやんだりしながら少しずつ青空が見えてきました。といってカラリと晴れるわけでもありません。

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軽アイゼンを持ってくればよかったと後悔しました。踏み固められた雪道は滑りやすいんです。

道の両側はシャクナゲが群生していて、シーズン中はさぞきれいでしょう。そのせいか例年4月のこのルートは激混みで、今年はタイ人のグループ80人が宿泊地点それぞれで4つのロッジを貸し切り予約しているとかで、なんだかヒマラヤ トレッキングはすごい時代になったもんだと感心するばかりです

ハイキャンプ到着 3557m

今日の宿泊地、ハイキャンプに到着です。ネパール人トレッカーたちが記念写真を撮っています。マルディ ヒマールは、ポカラからたったの2日でヒマラヤの展望台に来られるお手軽ルートなので、ネパール人にも人気のコースです。

ハイキャンプに到着
雪の上のネパール人トレッカーたち

今日の宿泊は、昨年できたばかりのHotel Mardi Peakという新しいロッジ。グルン族の夫婦が二人で切り盛りしていました。

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新しいだけあって部屋は清潔で申し分ないです。ぶあつい布団も置いてあります。

以前は、ロッジに備え付けの布団は重くて重くてこれで寝ると息苦しくて眠れないという代物でしたが、最近は質がよくなって、寝心地もだいぶよくなったそうです。

ぼくはダウンのシュラフを持参しているから(ポーターに持ってもらっているんですけど)この布団で寝たことはないのですが、ちょっと持ってみただけでも質が向上していることが分かります。

宿が雪に包まれているくらいですから、水道のタップをひねっても水はでません。歯磨きの水は女将からもらういます。女将は気が利く人で、歯を磨いていたら頼まなくても水を持ってきてくれました。

シャワーはもちろんありません。氷水ならあるから水垢離はできるかもしれませんね。手洗いの水は、このように雪をストーブで溶かしてつくります。

氷をストーブで溶かす
データ通信事情スマホのネット通信は場所によって入ったり入らなかったり。現在、ネパールテレコムが中継の鉄塔をハイキャンプに建設中で2020年秋に完成予定。以降はネットに不自由しないと思われる。マルディトレッキングのルート上には村がないため、今のところ電線が引かれていません。ロッジは太陽光の自家発電で明かりはちゃんと個室にもあります。

DAY3 標高4000mのビューポイントへ

標高3500m ハイキャンプの朝5時の気温

  • 室内 0.2度
  • 屋外 -4.4度

ハイキャンプからビューポイントへは往復3時間半ほど。ほとんどのトレッカーは朝5時〜5時半に出発します。2月下旬の日の出時刻は6時43分ですから、歩き始める頃はまだ真っ暗。ヘッドライト必携です。

東の空が明るくなってくるのは朝6時をまわったころ。ヘッドライトのスイッチをオフにするのは6時15分頃。ふと気がつくと、周囲がだいぶ明るくなっています。

マチャプチャレの夜明け

雪を踏みしめながら歩きます。歩きにくいから、往復4時間くらいかかるでしょう。

雪の上を歩く

宿をでて約2時間。ビューポイントまであと少しというところで、ドイツから来た3人娘が難儀していました。うち1人が、空腹と疲れで座り込んで泣いているのです。

途中で疲れて歩けなくなるトレッカー

この3人は同宿の女医さんで、ネパールにはホリデイとボランティア活動を兼ねて来ているそうですが、女医さんでもこんなところでへたり込んで泣くのだなあ。なんの専門医かは聞きませんでしたが。

ガイドのミンマくんが「あと少し歩けばピークに着いて茶屋があってホットティーが飲めますよ」と励ましたら、その言葉がよほど効いたらしく、じきに泣きやんで歩き始めました。

朝日を浴びて歩くトレッカー

太陽が稜線を越えて差しこみ、3人娘が歩いてきます。

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7:20 ビューポイントに到着 4009m

ハイキャンプから登ってくるビューポイントはふたつあります。ここはひとつめ。

ビューポイントへ到着

すでに何人かのトレッカーが到着していました。雪に包まれたファースト ビューポイントは、少し離れたところからはこんな風に見えます。茶屋が5軒ほどあります。

雪に包まれるビューポイント

この景色を見て、ミンマくんがしきりに「美しいですねえ」と言ってました。この尾根をさらに登ると、標高4200mに2つめのビューポイントがあります。更にその先の標高4500mにマルディ ベースキャンプがあります。そして、先端が二叉になって聳えているのが神聖なマチャプチャレ(ネパール語で魚の尾の意、英名フィッシュテイル)6993m。その右横の頂がマルディ 5587m

マチャプチャレと内院

マチャプチャレまで尾根がずっと続いています。

振りかえると、標高3200mの丘に雪が被っているのが見えます。あの丘はプーンヒルに連なる尾根ですが、プーンヒルそのものは手前の丘に隠れていて見えません。

遠くにプーンヒルも見える

写真の構図外になりますが、ポカラの町も見えます。夜明け前は街の灯が輝いていました。ここは、神々の世界と人間界を同時に見渡せるビューポイントなのです。

おととい会ったスペインのグラナダから来たおじさんとここで再開しました。いっしょにコーヒーを飲みながら「スペイン最高峰はシエラネバダの3400mなんだ」と語っています。3400mといえば下方に見えるプーンヒルと同じくらい。ネパールではその標高では「山」とは呼ばず「丘」といいます。

すると富士山も「丘」か?

という疑問がわきます。ネパール人に訊いたら「富士山は雄大だから山でよい」とのことでした。日本を立ててくれたんでしょうか。「ベイビーマウンテン」とも言ってましたが。

余談ですが、スペイン人のおじさんはネパール人のつくるコーヒーを「カフェではなく色つきお湯」と呼んでいました。ネスカフェの粉がちょっと入ってるだけですから、スペイン人でなくてもうそう思います。

スペインでカフェといったらエスプレッソのことで、あれを飲むとシャキッとしますが、色つき湯を飲んでもシャキッとしません。

予定では、今日はこの先のマルディ ベースキャンプまで行くつもりでしたが、ここしばらくは積雪で誰もこの先へ行ってないことと、天気予報では今日の10時過ぎから天気が崩れるということで、今回はここまでにして、ハイキャンプへ戻ることにしました。

11:13 ハイキャンプ発

ビューポイントからハイキャンプに戻ったのは9時半頃。往復で4時間の旅でした。

グルン族の女将が見送ってくれた

ゆっくり食事を食べて、荷物をまとめて、ロッジを後にしました。グルンの女将が笑顔で見送ってくれました。たいへんいい感じの宿でしたよ。

オンシーズンは忙しいからどうか分かりませんが、オフシーズンならいろいろと気を遣ってくれて、気持ちよく滞在できます。やっぱり宿のよしあしは女将の人柄で決まりますね。

そうこうしているうちに雪が降ってきました。天気予報がよく当たります。

雪が降る
花も雪に埋もれる

昔は天気予報というと「予想が当たらないもの、外れるもの」の代名詞でしたが、昨今は予報の通りに天気が推移するから感心するばかりです。

13:15 ロウキャンプ着2990m

雪道をどんどん下り、やがて雪が溶けてぬかるんだ道になり、周囲がシャクナゲの森に覆われるとロウキャンプに到着。ここでランチです。朝からずいぶん普通なら歩いているのでここで一泊するのですが、もっと歩きたい気がして、このまま下山することにしました。

後から考えるとこの判断は失敗でした。雪道と石段をさんざん上り下りして足がかなり疲れていたので、ロウキャンプで一泊して休息すべきでした。しかしこの時はなんかハイになっていて、あと3時間歩いてシディン村へ歩き続けることにしてしまった。

14:46 ロウキャンプ発

滑りやすい雪道、膝に響く石段、足を取られるぬかるみ、今日はこんな道を歩き続けています。チョコレートを食べて元気をつけながら。

ぬかるんだトレッキング路を歩く

小雨が降るなか、なんとヤクの群れと遭遇しました。こんなに標高が低いところで珍しいです。ゾッキョではなくてナック(ヤクの雌)がほとんど。

ヤクとナックがいる

驚いたのは、軽装で登ってくる人とすれ違うこと。こんな時間に! しかも荷物が少なくて街着で来ています。インド人かネパール人かどちらかですが、この先に何が待ち構えているかを知らないで来ているんですね。

インド人の夫婦は、太った妻がすでにグロッキー状態で疲れた顔で石段に座っていました。その無謀さに感心するばかりです。

2時間ほど下ると、正面に平野が見えてきます。天気もいいですね。写真では分かりにくいですがポカラの町も見えます。よく晴れているようです。

ポカラ平野が見えてくる

グルン族の茶屋で一休み。

途中の茶屋

シャクナゲが咲いています。「赤いシャクナゲ」はネパールの国花ですが、赤いシャクナゲならなんでも国花というわけではなくて、ちゃんと種類が決まっているそうです。日本でも、櫻ならなんでも国花ではないですからね。

ラリグラスが咲いている

18:11 シディン村の宿に到着 1800m

グルン族の農村、シディンの村外れに宿があります。暗くなる前にようやく到着しました。あと30分もすれば真っ暗になります。新月に近いし街灯もないしから、本当に真っ暗になるんです。その前に着けてよかった。

シッディンの宿
シッディンの宿の部屋

部屋は、ハイキャンプのロッジと大差ないです。あっちの方が新しいからキレイな感じ。こっちはシャワーが部屋についててぬるいお湯が出ますが、浴室は寒かった。そのうち豪雨になりました

DAY4 ポカラへもどる

標高1800m シディンの朝6時半の気温

  • 室内 10.2度
  • 屋外 8.1度
シッディンの朝

赤いショウルをまとっているのが宿の嫁です。ビラトナガル(南部にある人口20万人の都市)出身で、この村に嫁に来たときは寂しくて毎日泣いていたけど、今ではすっかり慣れました、と豆の皮むきをしながら話していた。

晴れていれば、ここからマチャプチャレが白く輝いている筈ですが、曇天でなにも見えません。昨夜の高地は大雪だったようです。今日もしハイキャンプにいっても何も見えないから、天気予報を信じて予定を早めて昨日のうちにビューポイントへ行ってよかった、としみじみ思いましたよ。

8:30 ポカラへの乗り合いジープに乗る

乗り合いジープはホテル前が始発です。乗り遅れることはありません。本当は8時発なのですが、ネパールタイムで30分遅れて出発しました。

シッディンからポカラ行きの乗り合いジープ

なかはこんな感じ。

シッディンからポカラ行きのジープの乗客達

ポカラへは通常2時間で着きますが、乗客の1人が運転手の知り合いで、その客のために遠回りして走ったので、ポカラへは3時間近くかかりました。

シディンからポカラへのジープ乗合ジープは朝8時・9時発、料金は外国人Rs1500・ネパリRs500。レイクサイドへのチャーターは1台Rs5000。

トレッキング4日目は、車で移動するだけになりました。前述したように、昨日は歩きすぎで、足が筋肉痛になって困りました。痛みがなくなるのに4日くらいかかった。大失敗。4日で歩くコースを3日で納めるような無理をしてはいけませんね。

本記事では、ヒマラヤとヒマールを混在して表記しています。前者はサンスクリット語と英語、後者はネパール語で、どちらも同じヒマラヤ山脈を表します。以上、マルディヒマール トレッキングの記事でした。

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