モスクワ・シェレメチェボ空港で過ごした20時間の記録
バルセロナ空港から乗ったアエロフロート モスクワ行きの便は、乗客のほとんどが中国人民だった。こうなると空気も中華な雰囲気で、もしかして間違えて中国国際航空北京行きの便に乗ってしまったかな?と錯覚するほど。
が、スッチーは色白のロシア美人だし、流れるアナウンスはロシア語だから、間違いなくアエロフロート ロシア航空に乗っているのだ。
離陸して1時間半後、うとうと寝てると不機嫌そうなロシア人のスッチーに肩を強くつかれて無理やり起こされた。深夜1時半だというのに夕食が出されたのだ! チキンカレーだったが、眠いしおなかは空いてないしほとんど食べられない。その後少し眠ったらモスクワ空港に到着した。バルセロナからの飛行時間は4時間ほどで短かった。
早朝のモスクワに到着
モスクワ シェレメチェボ国際空港はさすがに首都の空港だけあって、まだ暗いうちからその辺にたくさんの旅客がごろごろしていた。
成田行きの便への乗り継ぎ時間が20時間もあるのだけど、ビザがないから外へ出られないので、空港内に留まるしかない。
セキュリティチェックを過ぎて出発フロアに降りて、そのままカプセルホテルへ行ったら、小さな受付に行列が出来ていた。なんと満室であった。
満室になるとは想定してなかったが、よく考えたらこの時間なら当たり前か。料金は550ルーブル/1時間で、日本円なら930円/1時間くらい。長く滞在すると少し安くなる。モスクワ空港では、表示はロシア語・英語・中国語の3カ国語で表示されていて、やっぱりこの空港利用者は中国人が多いのだなあ。
で、仕方がないからラウンジへ行くことにした。モスクワ空港にはプライオリティーカードで利用できるラウンジが3つあって、そのうちのひとつがここ、モスク ワラウンジ。受付のお姉さんたちはロシア人らしく愛想がちっともよくないが食事がわりとおいしいラウンジ。でもほとんど食べる気がしないので椅子に座って休んでいた。
ところで、どうしてバルセロナ便から成田便へ乗継ぐのに、モスクワ空港で20時間もかかるのかというと、本当は次のバルセロナ発便なら1時間で乗り継げるのだけど、モスクワ空港のお役所的運営のため乗り継ぎに失敗して航空券を正規料金で買い直すはめになる日本人客が少なくないから、万一にもそんな事態に陥らないように、時間に余裕をもっているのである。
モスクワ空港でカプセルホテルで熟睡する
しばらくモスクワ ラウンジで休んで、朝9時を過ぎた頃に再びカプセルホテルの受付に向かった。GettSleepという名のこのカプセルホテルは、居心地のよさそうなベッドのイラストが通路に面して大きく描かれている。これならさわやかに眠れそうだ。
しかし、広告用イラストと実際はもちろん違い、単なる簡素なカプセルが並んでいる。実はぼくはカプセルホテルに泊まったことがなくて、今回が人生で初体験だ。まさかロシアでカプセルホテルに泊まることになるとはなあ。5時間で2500ルーブルを受付の男の子に前払い。空港内の両替商はレートが悪いから当然のことながらカード払いした。
この男の子は高麗人みたいな感じ(朝鮮人のことをロシアでは高麗人という。中央アジアに住むロシアの少数民族)でつまらなそうな顔で応対してくれたが、あんまり面白い仕事ではなさそうだしそれも仕方ない。
ベッドはこんな感じ。ぜんぶで38床ある。とにかく荷物の心配をしなくて横になれるだけでありがたい。料金はぼったくりな感じがするけどよ。手荷物はベッド下にあるロッカーに入れて、ぐっすり休んだ。
目覚めは熱いシャワーで
4時間ほどぐっすり眠って、目が覚めたら午後1時を回っていた。頭がぼんやりしたままシャワーを浴びに行った。このとき受付にいてタオルをくれたのは笑顔の優しい栗毛のお姉さんでたいへん感じのいい人だった。彼女のお陰でぼくのロシアのイメージは好感度300%アップしたよ。
ただし、スペインで感じのいい人がたいがいスペイン人ではなくアルゼンチン人であるように、ロシアでも感じのいい人はもしかしてロシア人ではないかもしれない(根拠のない想像です)。
配水管の無骨さがロシアっぽいですね。西欧ならこういったものはもっとスマートで、ドイツやオランダなら配水管すら機能美を感じるデザインだが、ロシアのシャワーは昔の戦車の部品を流用したようなゴツイ感じ。
さっぱりしてベッドルームに戻ると、中国人民がスマホでネットしながら一人で大声でしゃべっていた。まったく中国人はどうしてこんなに騒々しいのだろう?
さっき、ぼくが熟睡していたときも、この人たちが携帯電話で大声でおしゃべりをはじめるので起こされてしまった。わざわざベッドから降りて相手の前に行って注意すると「しまった!ここはベッドルームだった。済みません」と申し訳なさそうな顔をするから、言えば理解するようだ。しかし言わないとやめない。
大陸の人はいつもこんな感じで、だまっていてもこちらを忖度してくれないから、こちらも言いたいことがあればきちんと伝えた方がいい。話せば分かるが、話さないとわかり合えない。
今度はガラリア ラウンジで一休み
カプセルホテルをチェックアウトしたら、こんどはDターミナルの端の方にあるガラリア ラウンジへ入った。ここは食事はモスクワラウンジほど選択肢がないけど、窓が大きくて明るくて居心地がよい(ほんの少しだけね)。受付の女性の愛想も少しだけいい。窓の外にシェレメチェボ のロゴが見えた。
料理はおいしそうにも見えるが、疲れて食欲がないのと、アエロフロートは機内でも食事がちゃんと出てくるから、ラウンジではドリンクを飲むかチップスをかじるくらい。
え?他の航空会社は食事はちゃんと出さないの?と思った人もいるかな。エールフランスのエコノミー席なんか何を食べてもちっとも美味しくないし、倒産しかけた頃のJALなんか食べたら気分が悪くなるほどマズイものが出ていた。それらに比べたらアエロフロートの食事はずっとおいしい。
スッチーもすこぶる美人だし、なかなかいい感じではあるよ。
ただし、地上の人たちは典型的なロシア人というのか無愛想な人が多いけどね。でも中国民航よりずっとマシ。あっちはスッチーも無愛想だからな。
ここにはマッサージチェアが置いてある。YAMAGUCHIというブランドで、日本製を装った中国のパチもんかと思ったら、なんと日本人のヤマグチさんという人がロシアで健康関連ビジネスで大成功を収めているらしい。
台風にもかかわらずロシア人は成田に着陸するつもりだ
ぼくのスマホに番号非通知の電話がかかってきた。誰だろう?といぶかしく思いながら取ったらロシア語でなにか言ってる。このIP電話番号は飛行機のチェックインのときに登録したから、今晩のフライトについてアエロフロートからの案内であろう。しかしまったく何を言ってるか分からないので、切ってしまった。
それから搭乗案内のボードをみたら、東京行きの便はなんと出発が30分早まっているではないか。
電話はこれを伝えようとしていたのか。
早めに出発して、早めに成田に着陸する作戦かな。とくかくロシア人は史上最大規模といわれている台風19号がきていても成田空港に着陸する気マンマンでいるようだ。すごいぜスラブ魂。
それに対して日本の航空会社は、明日は全便欠航をすでに決めていた。大和魂は少し弱々しいですね。
そうこうするうちに、17時30分を過ぎた。そろそろ搭乗口へ向かうとするか。でもさ、次のバルセロナからの便は18時到着予定だから、この便から成田行の便に乗継ぐ客はモスクワに置いていかれるハメになるなあ。
それとも案内係が着いてすっとんで来るだろうか。間に合わないだろうな。乗り継ぎ客が何人いるか知らないが、その運命を思うといかんともしがたい夜を座席の上で過ごすのであった。
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