Nikon AF-S 24-120 f/4G VR

撮影機材

今後、メインレンズとして使う予定のAF-S 24-120 f/4G VR。

24120 3

このレンジの初代AF 24-120/3.5-5.6 D が発売されたのは、フィルムカメラの頂点に立つニコンF5発売とほぼ同時期の1996年10月。当時、F5は圧倒的な高性能で君臨したカメラだが、こちらは圧倒的な便利さで人気沸騰したレンズだった。

なにしろ広角24mmから始まって、標準ズーム上限の70mm〜85mmを軽く飛び越えて、120mmを達成したのだ。設計が非常に難しかったと聞いているが、その甲斐あってかよく売れたレンズだった。

ぼくは当時は単焦点レンズ派だった。高倍率ズームレンズに偏見があって見向きもしなかったが、実力あるフォトグラファーが意外にもこのレンズを使っている姿を見て認識を新たにしたのをよく覚えている。特に藤原新也が使っているのを見たときには正直いって大変驚いた。

その後、2003年には構成を一新した2代目が発売され、性能がアップしたのでぼくも購入した。

高性能な3代目 24-120mmが発売

さらに技術の発展により2010年にはより高性能なレンズとなって、3代目である本レンズが発売された。 ぼくは発売日から2ヶ月後、NPSの新年の仕事始めの日にカウンターで手にした。待ち望んでいたレンズだったのだ。

ナノクリスタル・コーティングされているレンズは、3600万画素のD800に対応する性能を持っているから、本レンズの性能は疑問の余地なく優秀だ。中央部の解像力は高く、絞り開放から鮮明に写る。ちょっと絞ればなお鮮明で、f6.3〜f8あたりが一番よい。周辺部は中央部に対してやや甘くなるものの、ぼくはDXのD7000に着けて使うから、これには全く頓着しないで済む。

下克上は簡単には起きない

よくAF-S 28-300 f/3.5-5.6G VRと比較されて、解像力に差がほとんどないことから、こちらは高価なだけで実力不足なのではないかという声を聞く。そういう人は、ネットで情報を仕入れるだけで、実際に手に持って両者を比較したことがないのであろう。

それぞれをカメラに装着し、構えてファインダーを覗いてみれば、24-120 f/4G VRの方がよいレンズであることはすぐに分かる。造型がしっかりしていてガタツキが少ない。そしてAFスピードは比較にならないくらい速い。AF精度も高く、ビシバシと高速で合焦するのは気持ちがよい。

付属フードHB-53もよく出来ている。24mmに対応したフードだから遮光効果はそれなりだが、昨日も書いたように形がエレガントで、伊達者である。 全体に見て、やはり値段の差は正直だと感じる。 「下克上」はそう簡単には起きないものだ。

ボケ味もわりとキレイだ。 一般に高倍率ズームレンズのボケはささくれだっていて味気ないが、この24-120/4VRはズームとは思えないほど柔らかくボケる。もちろん上には上があるし単焦点レンズの美しさにはとうてい及ばないものの、実用上は満足できるボケ味をしている。

VRの効きもよい。 写真に写っているように、DXで使っているためフードはマミヤのラバー製フードを流用している。ナノクリスタルコーティングが施されているとはいえ、余計な光を遮った方がよいことに違いはない。

実効F値がやや暗い

このレンズにも欠点はある。

それは、重いこと。 標準ズームだというのに710gもあって、結構ずっしりする。 せめてあと50gでも軽いとよかった。 そして、実効F値が暗いこと。表示されている「f4」より2/3くらい暗いようだ。

そこで名レンズと誉れ高いAF-Sマイクロ60 f/2.8と簡単に比較してみた。

ボディ: D300
ISO: 400
Aperture: 7.1
Shutter: 1/160
Exposure: Manual
White Bal.: 5260K
RAW撮影 ピクチャーコントロールはニュートラル
ストロボはマニュアルで発光量固定

ボディー側の設定はひとつも変えず、レンズだけ交換して撮影した。三脚に着けず手持ち撮影だから、ここでは露出の差だけ見てほしい。写真は、RAWからView NX2で現像し、現像時に縮小した以外にまったく手を入れていない。

AF-Sマイクロ60 f/2.8

AF-S 24-120 f/4G VR

上の2枚を比較すると、撮影条件が同じとは思えないほど24-120の方がアンダーに写っている。これには結構驚いた。そこで24-120の方を、View NX 2で+1段露出補正して現像した。

AF-Sマイクロ60 f/2.8

AF-S 24-120 f/4G VR(+1段現像)

+1段現像することで見た目はほぼ同じになった。 お皿の同じような場所のRGB値を比較すると、値はほぼ揃っている。なんと+1段現像で!。これまで0.6段ほど実効F値がアンダーだとは思っていたんだけど、本当はもっとアンダーなのか。結構ショックかも。

発色は60/2.8の方が透明感があってキレイ。さすがニコンが誇る名レンズだ。 モニタ上で大きいサイズで見比べたら60/2.8のほうが画質がよいことは明白に分かる。が、このブログのサイズで見たらほとんど違いがないし、中間の調子が少ないことはむしろコントラストが高く見えて好印象かもしれない。

と、実効F値の件は少々問題ではあるが、普段このレンズを使うときはいつも露出を+0.5に設定しているから実用上は問題がない。重量も、描写力がよい証だと思えば気にならない。

実際、よい描写をするレンズは重いものである。 このレンズは、DXで使えばフルサイズ換算で36〜180mm域をカバーする、便利で描写力のよいズームレンズであり、気に入っているし信頼している。12-24/4と組み合わせれば、旅の最中に撮影できないものはほとんどない。

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Posted by ariga masahiro