海外でのクレジットカード払いに日本円を選択したら、余計にいくら支払うことになるのか
海外でショッピングをしてクレジットカードで支払うときに、現地通貨と日本円を選べることがある。どちらを選んでも最終的には自分の銀行口座から引き落とされるのだから、はじめから日本円を選んでおけば出費の管理が簡単にも思える。
しかしこれがくせ者で、一見便利そうなサービスに、余計な為替手数料を上乗せされて支払い金額が多くなる恐れがある。
では、このサービスにはいったいいくらの手数料が上乗せされているのだろうか。ふだんは、カードで支払うときにいちいち比較をしないが、気になったので、確認してみることにした。
マドリードの人気バルでの支払いは
ここはマドリードで地元の人に人気のバル。食事の時間はたいへん混雑している。
混雑時は人が多すぎるから、食事時間帯が終わってしばらくしてから撮影したのが上の写真。だんだん空いてくる。外国人客が来ることはほとんどないらしい。
午後5時過ぎ、少し早い夕食に頼んだのはこれ。スペインといえば生ハムで、せっかくスペインに来たのならじっくりと味わいたい。
なお、午後5時過ぎは日本人には早い夕食だが、スペイン人には昼食が終わる時間だ。だからだんだん空いてくるのだ。
勘定の21.50ユーロは日本円でいくら?
で、食後に勘定を頼んだら料金は21.50ユーロだった。
VISAカードをカマレラ(女の店員)に渡して、暗証番号を打ちこんだら、彼女が一瞬だけ怪訝な顔をして、支払機の画面を再びぼくに向けた。そこには、ユーロと日本円の選択画面が表示されていた。
説明文は英語でこう書かれている。
You have the choice of paying your bill in either EUR or JPY EXCH. RATE 1 JPY = 0.0074595EUR Includes 3 % markup over wholesale rate provided by BBVR on 16/11/18 Press EURO or JPY
あなたは、ユーロまたは日本円のいずれかで支払うことができます。交換レートは1円 = 0.0074595ユーロで、BBVR銀行が提供する18年11月16日のホールレートに3%が上乗せされています。
この文章を把握するのは、慣れていればどうってことないかもしれないが、このようなタイミングでじっくり読むのは難しい。ようするに、市場取引の両替率に3%を上乗せしているようだ。
そもそも両替率がいくらなのかが分からない。両替率は、銀行やVISAがマーケットの価格を見ながらそれぞれ自社に都合がいいように決めているのだが、ぼくが実際にいくら支払うかは店からの請求書がVISAに届いた日のレートによるので、店でサインをする段階ではまだユーザーには分からない。
結局ここでは、ぼくはユーロでの支払いを選んだ。
日本円を選ぶと3%多く支払うことに
では、実際に支払う金額はいくらだろうか。ぼくのカードはセゾンカードなので、数日後にネットのセゾン会員ページをチェックしたら、計上されていた支払額は2817円だった。決済日は夕食の2日後。銀行間レートにはほとんど動きはなかった。
それぞれの支払額を比較するとこうなる。
- バルの勘定:ユーロ建て21.50ユーロ
- バルの勘定:円建て2882円 (円換算レート:134.0465)
- カード会社からの請求金額:2817円 (円換算レート:131.0233)
やはり、バルの支払機に表示された日本円の金額は、微妙にレートが悪い。割合でいうと2.3%上乗せされている。正確に3%でない理由はぼくにはよく分からないが、銀行が設定しているレートや、実際の換算日などの諸条件によって、若干の違いがあるのかもしれない。
3%といえば少し前の消費税と同じ割合で、支払金額が大きいと莫迦にならない額だ。
フィリピーナとおぼしきカマレラは表示を見ながら「こんなのはじめて見たわ」と言っていた。この店は外国人が訪れることは滅多にないから、これまでにユーロ以外の通貨が表示されたことがないそうだ。
数年前からみかけるようになった、支払い通貨を現地通貨と円とで選択できるこのサービスは、どうやら、カード会社が手数料3%を上乗せするために始めたサービスで、加盟店に適用を働きかけているらしい。加盟店がOKすれば、手数料は店とカード会社で山分けする仕組みなのだそうだ。
こういう、ユーザーに不利な支払い条件をサービスといっていいのか分からない。「3%上乗せします」と明記してあるから一概にVISAの儲け主義を非難することもできないが、分かりにくくて情弱のユーザーを手玉にとっているようにも感じられる。
何にせよ、余計なサービスには余計なお金を取られるのだから、支払い時にはよく確認して、日本円を選ばないようにしたい。実は、ぼくはうっかり日本円を選んでしまったことがあり、反省して、いまはよく注意ししている。
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