エベレストの展望台カラパタールにヘリコプターで簡単に行けることを知ってた?
標高4200mのコンデ ホテルから、ヘリコプターを利用してエベレストベースキャンプへ飛ぶことにした。そういうツアーがあることを以前から知ってはいたけれど、歩きが基本のぼくは、ヘリに乗るのはこれが始めて。
徒歩2週間かかる道を、ヘリコプターは50分で移動を終えた
コンデ ホテルをチェックアウトしたぼくは、エベレストを眺めながらヘリの到着を待っていた。
ヘリに同乗するのは、同宿のシェルパのおじさんと、ホテルオーナーの息子のミンマくん。ミンマというのはよくある名前だな。それからナムチェへ移動するスロバキア人のトレッカー夫婦。
カトマンドゥから飛んでくるヘリは、朝7時半ごろに、この丘に到着するという話だったが、なかなか飛んでこない。途中でルクラへ寄ったり、病人の緊急搬送など、用事をいくつも済ませているらしい。
9:32 ヘリコプターが到着
ようやくヘリが飛んできた。当初の予定より2時間遅れた。いつまでもこの空間にいたかったから「少しでも遅れて来てほしい」と思っていたので丁度よかった。
パンチのあるエンジン音を響かせながら着陸した。
9:38 ヘリが離陸、コンデに別れを告げる
荷物を載せ、乗客が乗り込み、離陸するまでにほんの数分しかない。ヘリコプターはスケジュールが詰まっていて、少しの時間を無駄にしない。ぼくは、ヘリが離陸するときに「ふわっ」と体が持ち上がる感覚が好き。
この一週間、ぼくのガイドをしてくれたシェルパのラクパくんとはここでお別れ。彼はここから歩いて自宅へ帰るのだ。下る一方の路なので2時間もかからずに帰宅できるそうだ。
コンデを離陸したヘリコプターは、ボテコシ(渓谷)を挟んで向かいの村、ナムチェバザールへ3分もかからずに移動した。コンデ4200m→ジョルサレ2800m→ナムチェ3400mへの激しいV字型の渓谷は、歩いたら少なくとも5時間くらいかかる。
10:01 ナムチェバザールを離陸
ナムチェでスロバキア人の夫婦を降ろしてから、ぼくは助手席(とは言わないかな? 操縦士の隣の席)に座って、シートベルトを両肩にしっかりとつけて、カメラのグリップを握った。カメラはPanasonic GH5とG9の2台。
ヘリには20cm四方程度の小さな窓がひとつ開いているだけで、そこからレンズを突きだして撮影しなければならない。これでは左側の景色しか撮れないなあ。
エベレスト地方の中心地、ナムチェバザールをあっという間に飛び越えて、ヘリはエベレストへと向かう。
10:02 ヒマラヤの奥へと続く路
ナムチェバザールを過ぎると、すぐに正面にエベレスト山群が見えてくる。左下方に見えるトレイルは、ナムチェからカラパタールやゴーキョへ向かう時に誰しもが通る道。
10:05 正面にエベレスト山群が立ちはだかる
エベレストに近づけば近づくほど、エベレストは手前のヌプツェ(エベレスト西岳)に隠れて見えなくなっていく。ここからは、ほんの少しだけピークが顔を見せている。
ヘリから正面を写した写真は、やや汚れたフロントガラス越しに撮影したのでなんとなくスッキリしないな。そこで小窓からカメラを外にできるだけ出して、液晶モニタを見ながらレンズを前方に向けてシャッターをきるというミラーレスカメラならではの撮影をしたかったが、風圧がすごくてカメラの操作ができない。
それに、じたばたしているうちにどんどん景色が後へ過ぎていくから、シャッターチャンスを失うばかりなので諦めた。
ペリチェ村上空あたりまで来たら、ヘリは進路を北へとってエベレスト ベースキャンプ方面へ向かった。ぼくの隣で操縦桿を握っているのはオーストリア人パイロット。
10:08 カラパタールが見えてくる
正面にプモリ峰7165mと、その下にカラパタールの丘が見えてきた。
カラパタールは、エベレストの展望台として知られる標高5545mの丘。この山域へ来るトレッカーの目的地だ。周囲に7000m峰が聳えているから小さな丘にしか見えないが、標高が高くて空気が薄いから登るのが結構大変な丘なのである。
10:12 エベレストベースキャンプが見える
中央に見えるのが、世界最高峰、標高8848mのエベレスト。
右のピークは7879m峰のヌプツェ。
エベレストとヌプツェの間にクーンブ氷河が流れている。この地域名『クーンブ山域』の由来になった氷河だ。エベレスト ベースキャンプは氷河の上にある筈だけれど、この写真では小さくて分からないかな。
多くの登山家はB.C.からこの氷河を登って、エベレスト登頂に挑むのだ。
10:15 カラパタールに着陸
ヘリは緩やかに高度を下げ、といっても海抜5500m付近なのだけれど、カラパタールに登るトレッカーを見ながら着陸態勢をとった。
トレッカーは、ルクラからここまで8日間かけて歩いて来る。それだけに彼らは感動に浸っている筈だ。薄い空気にあえぎながら、一歩、一歩を踏んでいることだろう。
いよいよ着陸です。
『カラパタールに着陸する』と聞いていたので、てっきりカラパタールの頂上に降りるのかと思ったら、そうではなかった。カラパタールのふもと、クーンブ氷河のほとりに着陸するのだった。
カラパタールの頂上は巨大な岩がゴツゴツしていてヘリが着陸できる場所はないから、よく考えたら当たり前か。
ものすごく空気が薄い所にいるのだけれど、高山病の症状が現れるより短い時間しかここにいないから、苦しくもなんともない。調子に乗ってヘリの周囲を歩いて景色を撮影していたら、遠くからパイロットに「ヘリのテールローターに近づかないように」とジェスチャーで注意を促された。後部回転翼のテールローターは人の頭の高さにあるから、不用意に近づくと頭が飛んでいってしまう。
エベレストの麓で記念写真を撮るミンマくん。カメラマニアのシェルパのおじさんに、ぼくも写真を撮ってもらった。
10:27 カラパタールから離陸する
カラパタールに滞在するのは5分程度と聞いていたが、10分以上停まっていた。クーンブ氷河の上を、南へ進路を向ける。
10:30 ペリチェ上空を通過
このあたりはトレッカーが歩く標高とあまり変わらない高度を飛んでいる。
10:33 タンボチェ上空を通過
今朝まで滞在したコンデ山がどんどん近づいてくる。正面全体に、屏風のように左右に広がる山全体がコンデ山。ヘリはタンポチェ僧院の上空を飛んでいく。
鬱蒼とした森と、木が生えない高地とを隔てる、森林限界がよく見える。ネパールでは標高3500m付近が限界線だ。
操縦席のパネルに、複雑な地形が映し出されていて、興味深い。
10:40 ルクラ空港に到着
ルクラ空港が見えてきた。緑が多いなあ。ここは標高2800m。
ルクラが都会に見えるようになった
ルクラ空港のバザール。20分前までカラパタールにいたのだが、荒涼とした氷河の世界から戻ったばかりの目には、この小さな村ですら都会に見える。
ちょっとコーヒーを飲んで休憩。
ああ、楽しい1時間の旅であった。
ヘリの旅はこれで終わり。ヘリコプターでカトマンドゥに戻るのは料金が非常に高いので、ルクラ空港で飛行機に乗り換えて、ヒマラヤ遊覧ツアーは終了するのだった。
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