マイクロフォーサーズをメインカメラに使うプロカメラマンたち

撮影機材

ニコンほか4社のフルサイズ ミラーレスカメラが発表され、先行するソニーと合わせてカメラ界はフルサイズ戦国時代に突入した。

そんな激動の時代にあっても、ぼくの主力はやっぱりマイクロフォーサーズのカメラだ。なんてったって高画質・軽量・機動力というロケ用カメラに必要な3つの要素を真に兼ね備えたシステムはマイクロフォーサーズしかないからね。

マイクロフォーサーズの広角レンズLumix 7-14mmF4は軽量なのに非常に画質がよく、買って後悔しないどころか、広角レンズ比較に終止符を打つ高性能製品だ軽量でとっさのシャッターチャンスに強いマイクロフォーサーズ
Lumix GX7, 7-14m/F4(換算14-28mm), ISO1250

今回は、FBとTwitterから、マイクロフォーサーズを使っているプロカメラマンたちの投稿を集めてみた。いずれの意見もぼくが日頃から思っていることと同じだけどね。というわけで、よくある素人のまとめ記事ではなく、プロカメラマンの意見集なのだ!

なお、これら投稿は正規のAPI機能で当記事に埋め込んでおり違法なパクリではありません念のため。

気がついたら全部パナソニックになっていた

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ぼくも同じ。NPS(ニコン プロサービス)に入ってたけどいつの間にかニコンのカメラはすっかり使わなくなって、パナソニックのカメラばかり使うようになった。そして今ではルミックス プロサービスに加入した。高画質なのに軽量なマイクロフォーサーズはロケ用カメラシステムに最適だ。

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小型で高性能なマイクロフォーサーズ

「F.B.フォトグラファーの皆様(その2)最近のマイクロフォーサーズレンズの実力は/オリンパス+パナソニック連合)
私事2012年腰を痛め、それを機にフルサイズからM.F.にしたのですが、7月発売されたオリンパスの7−14mm…

増島 実さんの投稿 2015年11月25日水曜日

マイクロフォーサーズのセンサーサイズは、フルサイズの1/4であることはよく知られている。これをして「マイクロはセンサーが小さいから不利だ」という人がいる。

ところがだ、そうでもないのだな。というのは、センサーが1/4ということは、レンズもまた光学性能を落とさずに1/4にダウンサイジングできるということ。1/4なら性能は同等、仮に小型化を1/3に押さえればレンズの性能は"同等"をはるかに上回る。

逆に言うと、マイクロフォーサーズの高性能なレンズに匹敵するフルサイズのレンズを作ると4倍以上の大きさ・重さになってしまうということ。

レンズの描写性能は、センサーサイズに対する大きさ・重さ・価格でほぼ決まってしまう。マイクロよりも優れたレンズを作ろうとしたら体積比8倍以上の巨大な製品になってしまう。

例えば下の2本のレンズの光学性能がほぼ同じだとは、にわかには信じられないかもしれない。比較すると体積は1/8、重さは1/4、価格は1/3だ。この2本を持ち比べたら旅行用ロケカメラにはマイクロフォーサーズを選ぶほかはない(個人の感想です)。

上:ニコン AF-S Nikon 70-200mm/F2.8E 重量1430g
下:パナソニック Lumix 35-100mm/F2.8 II 重量360g

増島さんが言及されているオリンパス M.ZUIKO 7-14mm/F2.8は、宇宙一よく写る広角ズームレンズと謳われたニコン AF-S14-24mm/F2.8に勝るとも劣らないと褒め称えられる名レンズ。

少し前までこの2本は、日本の製造技術の妙技をつくした最高最上の広角ズームレンズとされ、他メーカーは太刀打ちできない、あまりにも素晴らしい描写力なので世界一ではなく"宇宙一"と謳われた。

ニコンも大きなレンズだが、オリンパスもM43規格ながらあえて重く設計したことで超高画質を達成した。重いといってもニコンよりはるかに軽いから旅にも持っていけて撮影がテキパキ進められ、結果的にフルサイズのカメラよりもよい写真がより多く撮れるのだ。

プロカメラマンから評価が高いM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO

ミラーレスはその名のとおりカメラボディ内にミラーボックスが無い。そのためレンズ設計の制約が圧倒的に少ない。それは高性能なレンズを作りやすいということだ。特に広角レンズにおいて。

それゆえ、最高最上の広角ズームレンズ(のひとつ)にもかかわらず価格が14万円程度と安いのも嬉しい。ニコンの一眼レフのレンズの約半額である。

センサー性能はキヤノンより優秀

M43のレンズはフルサイズ一眼レフよりも性能がよい(製品による)として、センサー性能はどうだろうか。信頼すべきDxOの調査結果を見てみよう。パナソニック製センサーは、2013年のGX7発売時にはすでにキヤノン製APSセンサーよりも高い総合成績を出している。

パナソニックのセンサーの総合成績はキヤノンよりも高い

Panasonic Lumix GX7 は Canon EOS 70Dの総合成績68点よりも2点高い。このセンサーは同時期のオリンパスのカメラにも採用されていたから、マイクロフォーサーズのセンサー性能がキヤノンのAPSカメラよりも僅差とはいえ高いことは間違いない。

上級機のセンサーの性能差はより開く。なぜなら、マイクロフォーサーズ上位機種のLumix GH5やOlympus E-M1 Mk IIは優秀なソニー製センサーを採用しているからだ。ソニー製センサーの性能はキヤノン製よりすべての点で秀で、生産量も桁違いに多く、その差は僅差どころか果てしなく大きい。

もしキヤノンAPS-C機ユーザーがマイクロフォーサーズを「センサーが小さいw」と上から目線でいっていたら、自分が使っている機材のことがよく分からないで無駄なおしゃべりする人だから適当に聞き流しておこう。

では、フルサイズのセンサーと比較したら?

マイクロフォーサーズとフルサイズのセンサーの比較もしてみよう。Dxoのセンサー測定によれば、2016年発売のOlympus OM-D E-M1 MkIIの総合成績は80点
2008年発売のCanon EOS 5D2を1点上回り、2012年発売のCanon EOS 5D3よりも1点下回っている。数年前のキヤノンのフルサイズカメラなら、マイクロフォーサーズは総合成績でほぼタイだ。これら1点差を目視で区別がつく人はいないだろう。

OM-D EM-1のセンサーはキヤノンのフルサイズセンサーと性能は同等である

項目別にみると、ソニー製センサーを搭載したマイクロフォーサーズ機はダイナミックレンジでキヤノンのフルサイズセンサーを1EVも上回っている。ということはなんと、キヤノンのフルサイズ一眼レフよりもオリンパス機の方が風景写真に向いているということではないか。

1EVも違えば区別はつくかもね。オリンパスの方がキヤノンのフルサイズ一眼レフより画質が優秀だということが。

単純なフルサイズvsマイクロフォーサーズという図式の誤り

巷で「フルサイズvsマイクロフォーサーズの画質比べ」がよく話題にあがるが、この単純な図式は成り立たない。なぜなら、前述のとおり一口にフルサイズのセンサーといってもメーカーごとに性能が異なるからだ。Dxoの測定結果にしたがってセンサー性能を比較するとこんなイメージになる。

SONYのフルサイズ>> CANONのフルサイズ SONYのM43センサー

キヤノンフルサイズ一眼レフと同等の性能ということが自慢できるものなのかどうかは微妙だが、現在でもEOS 5D3を喜んで使っているキヤノンユーザーのプロやアマチュアが大勢いるのだから、マイクロフォーサーズのセンサーがプロが使える水準であることは間違いない(個人の意見です)。

仕事に使える高精細

フィルム時代、カメラ雑誌に掲載されるレビュー記事の扉写真はシノゴで撮影されるものであった。写真愛好家が読む雑誌だからとうぜん高画質が要求されるしアオリを使うからシノゴで撮影していたのだ。

シノゴがなんだか分からない子供たちには意味不明の話かもしれないが、ニコンやキヤノンのフィルムカメラより何十倍も高精細なフィルムカメラが4×5(シノゴ)だ。

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それが今ではオリンパスで撮影してOKなのである。いかにマイクロフォーサーズの画質がよいか、高精細であるかが分かるというものだ。

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背景がきれいにボケた写真も撮れる

「写真はレンズで決まる」というくらいレンズは重要だ。レンズ設計において有利なマイクロフォーサーズは「小さい」のではなく旅やロケに、そして普段使いで持ち歩きできるデジタルカメラの「最適な」サイズなのである。

そしてマイクロフォーサーズにも明るい単焦点レンズがたくさん用意されており、背景をボカした写真もちゃんと撮れる。

アマチュアの人たちが「フルサイズの方がボケが大きいから有利」と呪文のように唱えている。

ボケ量よりボケ味のほうがどちらかというと重要なんだけどこれが分かる人は少ないようだ。それに、中型カメラを使えばより大きく美しくボケることを知っていれば、ボケを追求するならフジフイルムの中型カメラを選ぶのが最適だろう。


ボケを云々するなら中型カメラを使ってからにしてね

フルサイズは、中型カメラに比べてボケ味が劣る。それどころか、フルサイズはフィルム時代なら最もボケ量が少ないフォーマットだった。

味も量も中判に劣るというのに、今ではフルサイズのボケを「大したことない」と言う人はいない。アマチュアはフルサイズ以上の性能を持つカメラを使ったことがないからだろうし、プロからみればフルサイズで実用上十分だからだろう。

どのフォーマットも使ったことがあるぼくからみれば、フルサイズのボケも悪くないし、マイクロフォーサーズもボケが少なくて困ることはない、という感じ。マイクロでもボケがきれいな単焦点レンズもあってポトレもちゃんと撮れる。

ボケの量はAPS-Cと大差ない

以前の記事にも書いたが、マイクロフォーサーズとAPS-Cのセンサーサイズは大差ない。また同じAPS-Cを名のっていてもキヤノン機はニコン機よりセンサーが一回り小さいからさらに差が少ない。

ボケ量の差はマイクロとキヤノンAPSはたったの絞り0.4段分の差しかないから両者をボケで見分けるのは難しいというか無理。

フジのAPSミラーレスカメラで美しいポートレートを撮るプロのフォトグラファーが大勢いるのだから、実用上ボケの大きさの違いはほとんどのプロには問題にならないレベルだ。これを問題にしているのは経験不足で案配が分からないアマチュアやブロガーだけである。

フットワークが最高のシステム

親子二代にわたる動物写真家で有名な岩合光昭さんはオリンパスユーザーであることも有名。主に M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO と 40-150mm f2.8 PRO の2本で撮ってらっしゃるようですね。

フットワークがよいマイクロフォーサーズは、俊敏に動く猫を撮影するには最適だろうね。オリンパスのサイトのQ&Aで岩合さんに「マイクロフォーザーズで写真の引き延ばしにはフルサイズと比べると限界はありますか?」と訊いた猛者がいた。答えが気になる人はこちら

マイクロなら速いシャッタースピードを選べる

かなり重要なこととして、被写界深度が同じならばマイクロフォーサーズの方がフルサイズよりもシャッタースピードを2段も速くできる。それだけ被写体ブレや手ブレの心配が少なくなるということだ。これってかなり利点じゃない?

その一方、アマチュアがイメージしがちな「プロの写真はボケが大きい」は実際はそうでもなく、普通のプロカメラマンの撮影仕事は少しでも被写界深度を深くしたい(ボカしたくない)ことのほうがずっと多い。静物撮影のとき、絞り値が同じならマイクロフォーサーズは被写界深度を2段も深くできるのだ。

ポートレートでも風景でも、マイクロフォーサーズはフルサイズよりも2段分も有利というのが真実なのだ。

お仕事カメラはマイクロフォーサーズ

ぼくも、よく「フルサイズとAPS-C、あるいはマイクロフォーサーズに画質の違いはありますか?」と質問を受ける。それはちょっと答えが難しい。

というのは、前述したように一口にフルサイズといってもソニーセンサーとキヤノンセンサーでは性能に大きな違いがあること。写真の画質の違いはセンサーサイズよりもレンズのクオリティの方が影響が大きいし、決定的に左右するのは画像エンジンだ。もちろんAF性能も重要だ。そもそもカメラはシステム全体で検討するもの。

というわけで、センサーサイズのみで画質を語ることはできない。総合的にいってキヤノンの一眼レフよりもマイクロフォーサーズの方が性能がよいとはいえても(個人の意見です)、ソニーと比較したらどうかというと断言しにくい。ともあれ、各社のカメラを比較して仕事撮影はマイクロフォーサーズがベストという声はよく聞く。

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で、ぼくの答えは『いずれのフォーマットもプロが仕事をするのに十分な画質がある』だ。この記事でとりあげたプロ達のコメントをみれば分かると思う。

最後に、プロカメラマンの新藤さんがツイッターでとったアンケートの結果をご覧いただきたい。ぼくがいうのも何だが、マイクロフォーサーズは意外なほど玄人に支持されている。だって使いやすくてよく写るからね。

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画質を語るうえで重要なのは画像エンジンの性能なんだけど、アマチュアでこの点に言及する人がほとんどいない。きっと、見るべきところがどこなのか分からないでおしゃべりしているのだろうね。

ミラーレスカメラが画質がよい訳

ぼくがミラーレスカメラを使いはじめたきっかけは、一眼レフと比較してピントが正確なことだった。ぼくはルミックスを使うようになってからシャッターを切った後にいちいち背面液晶でピント確認作業をすることがなくなった。ピントは必ず合ってるからね。

ミラーレスカメラは(簡単にいうと)撮像センサーと測距センサーが同じなのでピントが完全に正確だ。一方、一眼レフカメラの撮像センサーと測距センサーは部品が異なり、位置が異なるがゆえに微妙にピントがズレることがあるのは宿命ともいえる。

現在ではフルサイズもミラーレスカメラが多くなったので、ピント精度は必ずしもマイクロフォーサーズのみの利点といえなくなってきたが、何年か前は圧倒的なアドバンスだった。

電子シャッターの威力が凄い

もうひとつ。ぼくがパナソニックのミラーレスカメラを買ったのは、電子シャッターがあること。電子シャッターはまったく無音だから周囲に何にも気をつかわなくていい。クラシックの音楽会でもいくらでもシャッターを切れる。もちろん、スナップ撮影もやりやすい。

電子シャッターの利点はもうひとつある。物理シャッターでおきる物理的ショックが無いからブレの心配が無い。おかげで風景撮影でびっくりするほど解像がよい写真が撮れるようになった。もはや一眼レフはライバルではない(手ブレが無いという意味ではないよ念のため。シャッターショックと手ブレは原因が異なる)。

Lumix G9で世界最高峰エヴェレスト山群を撮影中

ピントがきちんと合っていて、かつブレてなければ、写真の画質はすごく良く見える。そんなこと当たり前だよと思うかもしれないが、少し前までアマチュアカメラマンはピントが合ってない写真をフツーに展示していたものだった。「ピントがちゃんと合っていて手ブレがない」写真を知っているアマチュアが実はかなり少なかったのだ。

撮った写真の画質が悪いことをカメラやレンズの性能のせいにしてるんだけど、たいがいは撮影者の実力が低いことが原因だ。

プロは「適材適所」で機材を選ぶから、自分が必要なカメラを使う。ぼくはフィルム時代にフルサイズ〜大型カメラまで揃えていたのだが、デジタル時代の今ではマイクロ43だけで撮影している。たまに、他のフォーマットがあってもいいかなーと思うときもあるが、フルサイズではなく中型カメラのほうが魅力的だな。最新のPanasonic Lumix G9で撮れない写真はほとんど無いから、普段はマイクロを使って、超高感度撮影とかの特殊用途用にフルサイズのカメラを買うのもアリかな、とは思う。

平成とともに一眼レフの時代が終わりつつあるが、戦国の世の覇者となるのがどこのメーカーかは、まだまだ分からない。

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