ウブドの森、神々の島
ウブド南方ニュークニンの田園から、聖なるアグン山が見えた。
森の向こう、夕刻の空にそびえるアグン山はことのほか神々しい。
バリ世界の中心であるこの山を見ると、不思議と心身が喜んでいるのを感じる。
それは、ぼくの心に、神々の喜びが伝わってくるからだと思っている。
バリ島のことをインドネシア語でプラウ デワタともいう。
「神々の島」という意味だ。
例えば、テレビのニュース番組で「ASEAN会議に参加するため、アメリカ合衆国のオバマ大統領がバリ島に到着しました」という事実を報道するときに、アナウンサーは「オバマ大統領が神々の島に到着しました」と表現している。
バリ島には数多くの神々がいる。
それは、イスラム教徒が人口の90%を占めるこの国でも、当然のこととして受け止められている。
そして、ぼくたちの国、日本もまた、数多くの神々が棲む島だ。
街角を歩く事に通り過ぎる鳥居、街道にたつ地蔵、山間の寺院など、日本には数え切れないほどの神と仏がいる。それを感じる人々によって日本の文化は築かれてきた。ぼくは神々の島に生まれ育ち、そして今もうひとつの神々の島へとやってきているのだ。
聖なるアグン山の存在に喜んでいるのは、はたしてバリ島の神々か、日本の神々か。
ぼくの心は、どちらの神に呼応しているのだろうか。恐らく、両方であろう。
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