地図にない散歩道

ネパール

カトマンドゥ盆地に住むネワール族の住居は、独特なスタイルをしている。それは、表通りやバザールを歩いているだけでは分からない。

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通りを歩いていると、建物の入口らしいところを出入りする人をよく見る。

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大概のツーリストはそれを見ても、この家の住民だろうと気にも留めないと思う。しかし、前方の女性の後をついて入ると、その向こうにあるのは個人の家ではなく、中庭を囲んでいくつもの住宅だった。

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中庭の中央には仏塔が建てられている。
ネワールには仏教徒が多い。

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中庭に面して寺が建っていて、壁面には五智如来が描かれている。

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ひとつの中庭は、また別の中庭へと続いている。

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その向こうには、さらに大きな中庭がある。

カトマンドゥにはこうした中庭と中庭を結ぶ通路が無数にある。子供たちは中庭で友だちと遊びながら育つし、おかみさんたちの井戸端会議の場所でもある。これらの道はガイドブックなどの地図には載っていない。

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ネワール族が作り上げた、中庭を囲んで人々が暮らすスタイルの都市は、中世イタリアの都市とよく似ていると言われている。ヒマラヤのふもとの都市と、海洋帝国イタリアの都市が、同じようなスタイルを持っているとは意外だね。

さらに薄暗い道を歩いて中庭を通り過ぎる。

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ようやく地図に載っている通りに出た。

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静かな中庭から外に出ると、雑踏がやけに賑やかに感じる。

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Posted by ariga masahiro