酸素の薄い旅日記 標高4984mのツェルゴリに日帰りで登ってきたの巻
今日は標高3870mのキャンジンゴンパから、標高4984mのツェルゴリに登る日。
上の写真は2日前にランタン村から撮った写真。中央のピークがツェルゴリ。キャンジンゴンパはツェルゴリの麓にある。
Day8. ツェルゴリ登頂記
キャンジンゴンパを朝5時に出発するつもりだった。しかし宿のキッチンが6時にならないと開かないのでそれを待ち、軽く朝食をとってから出発したら6時52分になってしまった。すでに夜は明けていた。
20分ほど歩くと、渓流ランタン コーラに注ぐチュビチュという沢にぶちあたる。この沢には橋が架けられていないから、渡れそうなところを探さないといけない。
沢といってもこの季節は凍っている。凍ってはいても簡単に渡れるわけではない。氷はものすごく滑りやすいから、気を抜くと簡単に転んで腰か頭をしこたま打ち付け、場合によっては骨折する。そんな目に遭わないように注意して、濡れていない石の上を探して歩くのだ。
今の季節は小さな沢だが、雨季あけの8〜9月はさぞおおきな流れになっていて、渡るのも一苦労するかも。
7:30 ランタン リルンに朝日があたる
標高7225mのランタン リルン峰に朝日が当たっている。
その下方を見ると、キャンジンゴンパにも朝日が当たり始めていた。
振り返って朝日をみつめるシェルパのミンマくん。
トレイルには、人間以外の足跡もある。これは雪豹の足跡だ。
標高4000mの高地にも、けっこういろんな生き物がいる。雪豹もそのひとつ。
雪豹はMacintoshのユーザーにはお馴染み…でもないか。覚えている人も多いと思う。これである。
腹を空かせた雪豹は、ヤクや羊などの家畜を襲うこともあるという。人間を狙うことはまずないが、とはいえちょっと心配にならないでもない。
8:55 小ピークにたどり着く
ツェルゴリの中腹には、傾斜が緩やかになるところがある。ここから振り返ると左にはナヤカン (5844m)、右にランタン リルン(7225m)、ふたつの山脈の間に伸びるランタン渓谷がよく見渡せる。
あの向こうにあるシャブルベシからここまで歩いてきたのだなあ。
ふたたび登りにかかる。この辺りから雪が残っているが、踏み跡がたくさん残っているからガイドなしで登っても道が分からなくなることはないだろう。積雪直後でなければ、トレッカーだけで登る人も多い。
標高4500mを越え、息が一層荒くなってきて、少し進むごとに立ち止まって息を整えるようになるのもこの辺りから。
だんだん岩が多くなってくる。
空はますます青くなってくる。
下方を見ると、登ってくるトレッカーが2人が見えた。1人は歩くのが速いから、ネパール人のガイドだろうか。もう1人がやや遅れて着いてくる。
太陽の光が雪に反射して眩しい。
あと少しで頂上です。
11:00 ツェルゴリの頂上に到着
標高4984mの頂に到着した。時刻は11時ピッタリ。4時間かかった。
近くにツェルゴリ以上に高い山がないので、ここからは周囲360度のパノラマが得られる。谷底のキャンジンゴンパとは別次元の眺めの良さだ。はっきり言おう、ツェルゴリに登らなければランタンに来た意味は無い、と。
これがツェルゴリ山頂から見えるヒマラヤのピークだ!
- ランタンII Langtang II 6561m
- ランタン リルン Langtang Lirung 7234m
- キムシュン Kimshung 6745m
- ヤンサテンジ Yansa Tsenji 6543m
- ランタン ユブラ Langtang Yubra 5245m
- ヤラピーク Yala Peak 5550m
- ペンタンカルポリ Pamthang Karpo Ri 6865m
- ドルジェラクパ Dorje Lakpai 6996m
- ランシサリ Langshisa Ri 6427m
- ガンチェンポ Ganchenpo 6387m
- ポンゲンドクプ Ponggen Dokpu 5930m
- ナヤカン Naya Kang 5844m
ヤラピークの方がツェルゴリよりも一層見晴らしがいい筈だけれど、キャンジンゴンパから日帰りで行くには遠すぎてテントが必要なので、ぼくには行くことができない。
カトマンドゥ郊外のナガルコットからよく見えるドルジェ ラクパの独特な佇まいは、方向が90度異なるランタン渓谷から見ても変わらない。
ドルジェラクパのすぐ左の三角峰はレンポガン Lönpo Gang 6979m。これもナガルコットからよく見える。すごいなあ、こんなに近くに見えるなんて。ドルジェラクパの右にウルキンマン 6151mがある筈だが、ここからはガンチェンポ Ganchenpo 6387mに隠れて見えない。
レンポガンの左側の山塊がランシサリ Langshisa Ri 6427m。ランシサリのふもとまでならキャンジンゴンパから日帰りができるから、結構いくトレッカーが多い。
あそこにも行きたい、ここにも行きたい…。などと思いながら景色をじっくり眺めていたところへ、先ほど下方に見えたトレッカーが頂上に到着した。足が早いのでネパール人のシェルパかと思ったら、アメリカ人の若い金髪娘だった。なかなかカワイイ子だった。
11:35 昼食の時間
昼食は、出発前に宿でつくってもらった。ちゃんとアルミホイルで包まれて保温されているからすごい。塩も付けてくれた。
- フライドポテト Rs450 フレンチフライを想像したらぜんぜん違ったマサラ味の料理
- ゆで玉子 2個でRs300
- ヤクチーズ Rs450 本物のヤクチーズ。なかなか美味しい
- ペットボトル入りのコカコーラ Rs450 途中で半分飲んでしまった。
2018年2月現在、Rs1はほぼ1円
今朝、出発が遅くなったのは、昼食の用意ができるのを待っていたからなのだった。頂上は強風がすごいから風のこない側へ50mほど下がったところでセットを広げた。FCBのボトルはバルセロナにあるバルサのショップで買ったもの。トレッキングのお供にいつも持ってきている。中は水が入っている。
ヤクチーズはおいしかった。ヤクは雄のことで雌はナックだからナックチーズが正しいという細かい突っ込みは無しで。ローカルの人も「ヤクチーズ」と言ってるし。
一方、マサラ味のフライドポテトはかなりおいしくなかったのでその辺に放ったら、すぐにくちばしが黄色い、真っ黒なカラスのような鳥が飛んできてポテトを摘まんでいった。シェルパ語でキュンマという鳥だそうだ。
食べ物の残り物は、キュンマが平らげるからその辺に置いておいてよいとのこと。アルミやペットボトルは持って帰る。
12:10 下山を始める
往路は西側から登ったが、下山は東側から降りることにした。今の季節は東側を歩く人は少ないから踏み跡もないし、雪が多めに残っていることもあってアメリカ娘はもと来た道から帰っていった。
ぼくらは東側へ、標高6387mのガンチェンポを正面に見ながら降りていく。
雪の上にはいろんな足跡が残っている。人間の足跡は見つからない。こちら側を歩く人はやはり少ないようだ。
はじめは緩やかに降りていくが、しばらくすると急峻な尾根を標高4500mあたりまで下り、その後は山腹を巻いて西側へ歩いていく。
ランタン渓谷からヘランブー方面へ向かう峠のガンジャラが見えてくる。
ランタン渓谷は『花の谷』とも呼ばれているほど、花がよく咲いているそうだ。夏ならそうなのかもしれないが、今の季節は自然に出来たドライフラワーが見られる。
この、30cmほどの植物はインセンスとして重宝され、カトマンドゥではパックでRs80ぐらいで売られているとか。ネパール語でスンパティといい、花と葉の様子からも伺えるようにシャクナゲの一種。これもドライフラワー化している。
午後になって天気が崩れてきた。太陽が雲の向こうで輝いている。
彩雲が出ていた。雲の動きに合わせて虹のような雲が動いている。
ヒマラヤタールの群れが走って行く。
だいぶ降りてきた。
渓流ランタン コーラの脇に飛行場が作られているのが見える。ヘリコプターが発達した現在、この飛行場はほとんど使われることがないようだ。
渓流ランタンコーラに注ぐ沢のチュビチュが見えてきた。朝、これを渡ってツェルゴリを登り始めた。
先に歩いていったシェルパのミンマくんが、沢の中で何かをしている。
石を置いてトレッカーが歩きやすくしているようだ。なかなかヤルね。
16:12 キャンジンゴンパ到着
ようやくキャンジンゴンパに戻った。東側はやや遠回りなので時間がかかり、下山を始めてからちょうど4時間が過ぎていた。
雲がでてすっかり暗い感じ。ぼくがツェルゴリ山頂にいた頃が一番天気がよかった。
夕飯に頼んだミックスピザ。
朝、ぼくの朝食と昼食をつくってくれたシェルパニ(シェルパの娘)が、夕飯も作ってくれた。それは「ピザという名のなにか」だが、生のタマネギがふんだんに使われ、ヤクチーズがたっぷり載せられていて、おいしい食べ物だった。
本日の記事は、ランタン トレッキング【中編】標高4984mのツェルゴリ登頂記でした。
なお、ツェルゴリの標高は5033mとする一部ドイツ製地図もあります。それに対して、アメリカ合衆国国務省作成地図をはじめ多くの信頼すべき地図が標高4984mとなっているので、本記事でも標高4984mとしました。
……次回につづく
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません