新型ストロボ導入で格段にやりやすくなったハイスピードシンクロ撮影

撮影機材

プロカメラマンに人気のGodox製ワイヤレスストロボは、ニコン・キヤノン・ソニーのカメラでハイスピードシンクロ(HSS or FP発光)ができるのが売りのひとつ。

これまでは上記3社のみ対応の製品しかなかったが、この8月にようやくハイスピードシンクロができるマイクロフォーサーズ用ワイヤレス発信機が発売された。さっそくAmazonでポチ。ずいぶん待たされたぜ。

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ハイスピードシンクロ(HSS)とは

ストロボの光を同調できる最高シャッタースピードは、カメラごとに違う。プロ用カメラなら1/250、中級カメラは1/200、安いカメラは1/160以下という明確なカーストの差がある。

それより速いシャッタースピードでは、ストロボ光を飛ばしてもきちんと写らない。

プロ用カメラがシンクロ速度1/250をきれるのはシャッター機構が高い性能と耐久性をもっているからで、安いカメラはこのあたりが簡易に作られている。ぼくはとろいカメラが苦手なんで1/250を切れないカメラを使ったことがない(ことはないけど、かったるいからメインカメラにはしない)。

とはいえ実際の撮影では、日中の屋外なら1/250はたいして速い速度とはいえない。ポートレート撮影でバックをぼかしたいときは1/2000以上の高速シャッターを切りたいときもあるんだけどそれはストロボ発光の仕組みからいって不可能だった。

その不可能を可能にしたのがハイスピードシンクロ(HSS or FP発光)という機能だ。これがあれば、日中でも1/2000のシャッターが切れ、作画の自由度が格段に広がるからぜひともほしい機能だ。

ワイヤレスストロボ発光のトリガー

カメラのシンクロ接点は、ニコンが1983年に発売したフィルム一眼レフNew FM2が1/250秒を達成して以来、30年以上も進歩していない。特殊設定で1/320に設定できる機種がまれにある以外は1/250のままだ。フォーカルプレーン式シャッターでは技術的にほぼ限界に達しており、ハイスピードシンクロ以外に高速シャッターを使う方法は無い。

ワイヤレスでハイスピードシンクロができる Godox X1T

Godoxは数年前から人気の中華製ストロボメーカー。無線発信機 X1Tが人気なのはその高性能とコストパフォーマンスにある。

  1. 2.4GHz帯の無線で100m離れたストロボと同調する
  2. 無線だから物陰にしこんだストロボも同調する
  3. 1/8000秒のハイスピードシンクロに対応する
  4. TTL対応のストロボならTTL制御可能
  5. マニュアル発光が1/3段刻みでできる

と高性能にもかかわらず発信機はAmazonで5000円程度で売られている。ストロボも1万〜1.5万程度。ニコンやキヤノンの純正機材よりはるかに安い。

Godox製ワイヤレスストロボのトリガー

安いからといって質が低いわけではなく、1〜5のように高性能だ。特に5の「マニュアル発光が1/3段刻みでできる」は当たり前のことなのだが、意外に日本メーカーにそれができないものがある。1/3段どころか1段ずつしか光量を変えられない謎仕様のストロボ製品は、カメラマンがどうストロボを使うかを設計者がぜんぜん分かっていないのだ。日本メーカーよりも中華メーカーの方がよほど撮影現場のことを研究しているのではないか。

そのうえGodoxのストロボは色温度が5600k程度で日本メーカーより発色がきれい。V850IIなら高性能リチウムイオン電池だからリサイクルタイムが短く、フル発光しても高速1.5秒でリチャージされるからすごく便利。

ただし連続フル発光は、発熱の問題から最大20発程度で発光が停止してその後はしばらく使えなくなるが、この点は現代の技術では克服しがたい難問だからしかたがないだろう。

メーカー純正よりも使い勝手がよい

ぼくはニコンの純正ストロボSB-900を3台持っているけれど、無線制御が旧式な赤外線方式だから少し離れると同調しなくなり、配置に気を遣わなくてはならず本当に不便だった。ボタンの操作性もGodoxのほうが全体によくできている。残念ながらニコンのデザイナーのセンスはGodoxに大きく負けている。

中華製Godoxを導入してから撮影のストレスが減った。

とはいえ、カメラのホットシューにストロボをつけて直でTTL発光するときの調光性能と配光性能はニコンの方が高い。ニコンのTTLストロボ調光技術はライバル不在の世界一なのだ。が、それ以外の撮影ではGodoxの方が使いやすい。

Godox製ワイヤレスストロボのトリガー2

背面の3つのボタンとダイヤルで操作する。このダイヤルが軽すぎるように感じるのでもう少しクリック感がある回転をしてくれると一層いいんだけど。

さんざん褒めておいてなんだけど、Godoxのワイヤレス発信機は機種毎に操作方法がバラバラで統一感が全然ない。製品をシステムで開発した経験がないからだろう。

Godox製無線ストロボのトリガー背面

外観のデザインはひいき目に見て「可」といったことろか。
無駄な曲線がめだつのが中華らしい。デザインの一層の向上が望まれる。が、日本メーカー製も五十歩百歩なんで許容範囲内とする。

マイクロフォーサーズでもハイスピードシンクロ

X1T 2.4G」の文字とあわせて「O」の文字がシルクプリントされている。オリンパス対応のしるしだ。同じマイクロフォーサーズ規格のパナソニックにも対応している。

Godox製無線ストロボのトリガー4

T」はトリガー(発信機)の意味で、形が似ているX1Rという製品があるけど用途が違うから間違って買わないように。
   
ぼくはニコン用X1T-Nも持っていて、ニコンのカメラで撮影する時はそっちを使っている。ニコン用もマイクロフォーサーズ用も操作方法は同じ。

日本の技適を取得している

Amazonには、日本の電波法の認証を受けていない中国製品が売られていることがあるが、このXT1はきちんと認証を受けている。ヨーロッパのCEマークなどとともに日本の技適マークが印されている。各地の認証を得ているから安心して使えると考えてよいだろう。

Godox製無線ストロボのトリガーに記される日本の技適マーク

さっそく装着。

Godox製無線ストロボのトリガーを着けたGH4

X1T-Oは平成29年7月12日に技適を取得。V850IIは平成28年12月1日に技適を取得。

使いやすいワイヤレスストロボ

ストロボ Godox V850でテスト撮影してみた。

Godox V850で発光テスト

問題なく同調する。

発信機X1TとストロボV850をそれぞれハイスピードシンクロに設定して、GH4のシャッタースピードを上げていくと、シンクロ接点の1/250を超えたところで自動的にFP発光に切り替わる。

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種類が多すぎて分かりにくいGodoxのシステム

新しい技術を積極的に取りいれて魅力的な新製品を矢継ぎ早に繰り出すのがGodoxのいいところではあるけれど、その度にインターフェイスが変わるし型番もバラバラでどれとどれを組み合わせて使えるのか大変分かりにくいのが短所でもある。中華の人たちのイケイケなビジネスセンスがよく現われている。

これから2.4GHz帯のワイヤレスストロボを買うなら、次の製品がいいと思う。

  • コマンダー(発信機)・無線、多灯、ハイスピードシンクロができるX1T
  • コマンダー(発信機)・X1Tの上級機でより操作性のよいXPRO
  • ストロボ・マニュアル発光のみ、LI-Ion電池の1.5秒高速充電ならV850II
  • ストロボ・マニュアル発光のみ、単三電池の2.6秒普通な充電速度ならTT600
  • ストロボ・TTL発光もできる、LI-Ion電池の高速チャージならV860II

ぼくはX1TとV850IIの組み合わせでHSSは完璧。

Godoxのコマンダー(発信機)はほかにXPRO、XT32、XT16など何種類かあるけど、HSSをするつもりで買うならX1TかXPROを選ぶのがいいだろうね。どちらを買うにしても持っているカメラメーカーに対応したものを選ぶこと。

ストロボは、マニュアル発光のみのV850IITT600は、ニコン・キヤノン・ソニー・オリンパス・パナソニックなどどのメーカーのカメラにも使える。ぼくはニコンとパナソニックのカメラでストロボを共用している。HSSは消費光量が大きいから撮影内容によってはLI-Ion電池使用でリサイクルタイムの速いV850IIのほうが使いやすい。物撮りなら0.5秒のチャージの速さを求められないからTT600でよい。

なおストロボで、TTLオート発光もできるV860IIは、ニコンなら V860II-N、キヤノンならV860II-C、マイクロフォーサーズならV860II-Oのようにメーカー名のイニシアルが入ったものを選ぶこと。

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