バリ島アグン山、噴火可能性。被害予想地図でみるツーリストへの影響は

バリ島

バリ島の聖なる山、アグン山に噴火の兆候

アグン山全景

アグン山は標高3031m(諸説あり)の火山で、バリ島内ならかなり遠方からでもその姿が見える単独峰。その名は「偉大な山」という意味で、聖山にふさわしい。

山頂には直径900mもの巨大な火口が開いている。

サヌール海岸とアグン山国際的ビーチリゾートのサヌール海岸(左)とアグン山

アグン山噴火のハザードマップ

アグン山付近では軽い地震が頻発している。

インドネシア火山地質災害対策局(PVMBG)は、9月、警戒レベルを危険度4の最高値に引きげた。また火口から半径9キロ以内を立入り禁止区域に設定、12km以内の大部分を立ち入り規制区域とした。

下図は3kmごとに同心円がひかれており、半径9キロはブサキ寺院も圏内に入る。

Badan Nasional Penanggulangan Bencana
  • 赤色 火砕流・溶岩・火山弾などの危険性が非常に高い
  • 桃色 火砕流・溶岩・流熱雲の危険性が高い
  • 黄色 上記が拡大する可能性のある地域

噴火したらその影響はカランガッサム県の広範囲に及ぶ。とくに北部に影響が大きい。前回の1963年の大噴火時も被害は北部に多かった。

バリ人の信仰の中心地ブサキ寺院は火砕流などの危険性が高い地域に近いにもかかわらずぎりぎり危険区域から外れている。バリ島でもっとも由緒ある寺院だけあって過去1000年のあいだに幾度もあった大噴火の被害を受けない場所に建てられているのはさすが。

ブサキ寺院は24日までは参詣者や観光客が大勢訪れていたが、25日は立入り禁止となって静まりかえっている。

ブサキ寺院はアグン山の中腹に建っている千年の歴史を誇るブサキ寺院はアグン山の中腹にある
アグン山と同じカランガッサム県内であってもツーリストに人気のチャンディダサ海岸・ランプヤン寺院・シドメン村は危険区域外。西洋人に人気のアメッド海岸もゲストハウスが営業していまも長期滞在観光客がいる。

急速に増える避難民

インドネシア国家防災庁(BNPB)の9月29日夜の発表によれば、周辺からの避難民は14万3167人にのぼり、28日の10万人から大幅に増えた。避難場所は471ヶ所に拡大している。

避難民の1/3にあたる約5万人は同じカランガッサム県の危険区域外に避難している。一方ウブドのあるギヤニヤール県に避難しているのは1万人ほど。スミニャックなど南部エリアまで移動してくる避難民は割合としては少ない。

バリ島内では避難民のための募金や差し入れが活発化している。

2011年の東北大震災のときは、バリ島では日本のための募金箱が各地に設置されていた。あのときはお世話になりました。もし万一アグン山が噴火した際は、こんどは日本から救援の手をさしのべたい。そのためにも日本政府の支援体制の拡充をのぞむ。

フェイクニュースも流れている

「バリ島では聖なるアグン山が約50年ぶりに噴火しました」などとすでに噴火していると書き込みや、溶岩が流れる合成画像がネット上にみられる。しかし9月30日午後11時現在、アグン山はまだ噴火していない。

インドネシアは火山列島

インドネシアは火山がつらなっている。

バリ島には、アグン山のとなりにバトゥール山という直径約7.5kmの巨大なカルデラがある。ここは阿蘇山みたいにカルデラ内に村があり、観光客も多い。周辺の島にも火山が多く、広い国土のどこかで毎年のように噴火して空港が閉鎖されている。

2015年7月にはジャワ島のラウン山(Gunung Raung)が噴火し噴煙の影響でバリ島の国際空港は2〜3日のあいだ断続的に閉鎖された。ラウン山はバリ島からも肉眼で見える大きな火山。

ついで2015年10月には東隣ロンボク島のリンジャニ山が噴火した影響でバリ島の国際空港は数日閉鎖された。

もしアグン山が噴火したら

ツーリストへの影響は

  • 観光客の多い南部地域はアグン山から遠く、直接の被害や避難の心配はない
  • 南部地域でも火山灰が降るかもしれないから日本からマスクを持参する
  • 空港が閉鎖されたら旅行が中止、または帰国が遅れる

リゾートエリアは安全

バリ島南部のデンパサール、スミニャック、ヌサドゥアなどのリゾートエリアはアグン山から車で1時間以上も離れた遠いところだから、噴火しても直接の影響はない。しょっちゅう噴火している桜島は鹿児島市からたったの4kmしか離れていないが鹿児島市民は普通に暮らしている。バリ島デンパサールはアグン山から40km離れているからぜんぜん心配はいらない。南部に滞在している分にはふだんとほとんど変わりがないだろう。

宿泊や帰国の心配は

心配なのは噴煙の影響で空港が閉鎖されること。

帰国を急ぐ人はスラバヤなど他の島の空港からジャカルタ経由で帰国する手段も考えられる。デンパサールからもっとも近い地方空港Banyuwangi空港へは車で約5時間、144km。インドネシアで2番目に大きい都市スラバヤへは車で約11時間、419km。スラバヤは国際空港だからタイ航空やエアアジアなどで他国経由での帰国もできる。

状況を判断して早めに車と航空券の手配をガイドかコンシェルジェに相談するとよい。

国際空港から観光客が移動するためのバスが用意されているとの現地報道があるそうだが「そういう構想がある」という程度のものと受けとめたい。インドネシアあるあるだ。

バリ島にはホテルはたくさんあるからもし帰国難民がたまっても寝るところがなくなることはない。これからオフシーズンだし、空港が閉まっているということは新たにツーリストが増えることもない。宿の心配はない。

アグン山の現況を知るには

アグン山の最新情報を知るには、インドネシア国家防災庁BNPBのFaceBookページをフォローするのが簡単。インドネシア語だけど画像が豊富で分かりやすい。継続して見ていると10月中旬以降はアグン山のニュースがめっきり減ってしまったので、ほとんど変化がないことが分かる。

BNPBのFaceBookページはこちら

アグン山から離れるといつも変わらないバリ島

9月29日のバリ島は快晴。きもちがよさそうだ。トゥランブランコテージのFBから。

ウブド在住者に聞くと、欧米人ツーリストの多くは火山をあまり気にせず滞在しているそうです。一方、日本人ツーリストのキャンセルは増えているとのこと。日本人は過敏ですねえ。

アグン山の巨大な火口

アグン山の頂上に立ったときの写真。

アグン山の頂上

火口はあまりにも大きすぎて、どのくらいの規模なのかがわからないほどだ。頂上に立つと、周囲をぐるりと水平線に囲まれて、地球の上に立っているという実感がする。遠くに見えるのは東隣ロンボク島のリンジャニ山(3726 m)。

バリ島アグン山の巨大な火口を覗きこむ

覗きこむと、火口底まで何百mもの岸壁が垂直に切りたっていてそれは迫力ある光景だ。落ちたらそのまま地獄行き。聖山は近寄ると怖ろしい。

10月29日追記アグン山が噴火しないまま1ヶ月以上が過ぎた。10月29日、当局は噴火の警戒レベルを危険度4から3に引き下げた。これにより避難者の多くが帰宅できるみこみ。また聖地ブサキ寺院などアグン山付近の観光も再開されると思われる。
12月15日追記その後、アグン山は11月27日に噴火し、噴煙の影響でデンパサール空港が閉鎖された。空港が閉鎖されたのは合計2日半の間で、29日午後には運行再開した。その後は、本日12月15日まで空港は正常に運営されている。しかし一部のLCCなどは乗客が少ないため減便している。バリ島はツーリストが少なく、いまならどこを訪れても歓迎してもらえるだろう。

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Posted by ariga masahiro