セビーリャのフェリア(春祭り)は、誰でもカセータでワインが飲める

スペイン

今日まで、セビーリャはフィエスタ一色に染まっていた。
美しいセニョリータたちが街のそこかしこを歩いて、それは素敵だった。

日本ではセビリアの春祭りと呼ばれているこの祭りは、スペインではFeria de Abril(4月のフェリア)と呼ばれている。グアダルキビル川南岸に設けられた広大な会場内は、カセータという仮設のバルがおよそ一千も並んでいる。

カセータは会員制のバルで、ビールやワインといった飲み物や、おつまみがいくらでも出てくるし、歌って踊れるスペースもあって、セビーリャの人々は、毎日毎晩、ここで夜通し楽しんでいる。この一週間は、体力の尽きるまで毎日通ってくるのである。フェリアを人生の最大の楽しみにしている人も多いそうだ(もっともスペイン人には人生最大の楽しみがほかにもたくさんある)。

しかし、さすがのスペイン人でも毎日踊って酒を飲んで踊っていると体力が持たなくて、週末になるころには家から出られなり、会場へ来られない人も結構いるそうだ。でも「もう疲れた。こんなことやってられない。明日はこない」と言いながら、翌日はまたおしゃれしてやってくるのがスペイン人である。

カセータは会員制だから一般の人は入れないのだが、その辺を歩いていると上機嫌の人が「ちょっと寄って飲んでいけ」と誘ってくれる。そこで一杯やると、「次はうちのカセータに来てくれ」とお誘いがかかり、ハシゴが始まる。飲んべえで踊れる人なら、そのまま夜まで、いや翌朝までカセータ巡りが続くかもしれない。
ぼくは残念ながらとてもそこまでつきあえない。

そんな楽しいフェリアも、日曜の深夜をもって終了だ。
いま、グアラルキビル川で花火がバンバンあがっている。
町中に音がこだましている。

カセータには誰でも入ってワインが飲める

今年はフェリア300年祭であった。
もともと家畜市場の商人が集まって作ったのがカセータなので、その伝統にしたがってカセータは今も会員制だ。現在では商人以外に、富豪や企業・政党・宗教団体など、運営に個性があるカセータが多い。新しいカセータが出来ることはないから、先祖代々会員という人以外が新たに会員になることは簡単ではない。

が、会員でなくても、一般の人たちは招待客という形でカセータに入れる。なぜならカセータの持主は招待客をバンバン呼ぶ社会的義務があり、カセータはいつもいろんな客で賑わっている。

では、セビーリャに誰も知り合いのいない日本人はカセータに入れないかというと、そうでもない。

カセータはようするに仮設のバルだ。この期間だけ雇われるバル業者は売上が多くしたいから、日中の空いている時間なら「入ってもいいですか」と一言断ればほとんどのカセータは大歓迎してくれる。奥がバルのカウンターになっていて、テント幕である以外はごくふつうのバルである。招待客ではないから飲み食い代は支払わなければならないが、会員だって無料で飲み食いしているわけではない。値段表は壁に貼ってあるからぼられる心配もない。

それから政治団体のカセータもその性格上から誰でもウェルカムだ。別にもスペインの社会問題について討論をふっかけられたりするわけではなく、単におしゃべりしてワインを飲んだり踊ったりするだけだから入るといい。でも、どれが政党のカセータなのかツーリストには分からないかもね。

それなら、場内には4つあるパブリックカセータCaseta publicaに行ってみるといい。その名の通りいつでも誰でも中には入れる。スペイン人も新しい飲み仲間を見つけにここにやってくるから、ニコニコしていれば見んなとアミーゴになれる。

カセータにいる人たちはたいがい上機嫌。突然やってきた日本人がイケる口で、多少とも踊れる人なら、たちまちカセータで大人気となること間違いなしだ。次はうちのカセータに来てくれ、とお呼びがかかればしめたもの。胸を張って招待客として行くことができる。

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Posted by ariga masahiro